生命保険有効活用相談シート集
 
X.相続編 納税資金対策


84 保険契約形態で税負担が大きく変わる

提案のポイント

・生命保険の契約形態には、主に「相続型」「一時所得型」「贈与型」の 3 つがあり、資産の状況や家族構成によって、大きく税負担が変わってきますので、どのパターンが有利かについては、被保険者の生命保険金を含んだ相続財産額や相続人、死亡保険金を受け取った受取人の収入などを踏まえて、検討する必要があります。

財産規模による税負担の相違

<共通前提条件>

・家族構成…夫、妻、子

・遺産分割…法定相続分どおり

・死亡保険金… 3,000 万円

・既払込保険料… 1,000 万円

 ※子へ毎年 200 万円の贈与で 5 年経過

・死亡保険金受取人…子(所得 0 円)

・相続型の場合の契約者…夫

・贈与型の場合の契約者…子

<シミュレーション>

@相続財産が多額にはない場合

・被保険者…夫(相続財産 5,000 万円)

A相続財産が多額にある場合

・被保険者…夫(相続財産 50,000 万円)

@パターン

 

相続型

贈与型

(一時所得型)

相続財産

5,000 万円

5,000 万円

生命保険金

3,000 万円

0 万円

非課税金額

▲ 1,000 万円

0 万円

課税価格

7,000 万円

5,000 万円

納付相続税

205 万円

40 万円

贈与税

0 万円

45 万円

所得税

0 万円

168 万円

合計税額

205 万円

253 万円

⇒相続型が有利

 

Aパターン

 

相続型

贈与型

(一時所得型)

相続財産

50,000 万円

50,000 万円

生命保険金

3,000 万円

0 万円

非課税金額

▲ 1,000 万円

0 万円

課税価格

52,000 万円

50,000 万円

納付相続税

8,364 万円

7,605 万円

贈与税

0 万円

45 万円

所得税

0 万円

168 万円

合計税額

8,364 万円

7,818 万円

⇒贈与型(一時所得型)が有利

相続財産が多額にない場合には、相続税率が贈与型を用いた際の贈与税・所得税分の税率より低くなるため、相続型のほうが有利となります。相続財産が多額にある場合には、相続税率のほうが高くなりますので、贈与型(一時所得型)が有利となります。
※相続などにより財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内に贈与を受けた場合、生前贈与加算の適用があるため注意

(文責:アクタス税理士法人 http://www.actus.co.jp

 

 

■解説シート

 
 
  • 2022年5月改訂版
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