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V.個人編 |
リビングニーズ特約 |
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32 リビングニーズ特約を使った方が得か、使わない方が得か
1.リビングニーズ特約
リビングニーズ特約とは、保険金の種類ではありません。したがって、リビングニーズ保険というものもありません。それでは「リビングニーズ特約」は何かというと、ある保険があり、この特約を付けることによって被保険者の余命が一定期間内(通常6カ月以内)と判断された場合に主契約の死亡保険金のうち一定額(通常3,000万円)を上限に支払われ、これと同額の死亡保険金が減額(または消滅)されたものとして取扱われるものです。
支払方法に関する特約ですから、この特約には、特約保険料もかかりません。そして、支払いを受ける金額は、給付金額から6カ月分の保険料と利息を差引いた額となります。
2.所得税が非課税
一見すると、死亡保険金の前払いではないかという解釈が生じます。一般的には被保険者が給付金の受取人ということになるので、この解釈だと被保険者に対して一時所得課税が生じるものと思われます。
ところで、所得税法は、心身に加えられた損害に起因して支払われる金員を非課税とする規程を置いており、これに照らして高度障害保険金と同様に非課税と解することになっています。
3.相続税法上の取扱い
リビングニーズ特約給付金は、被保険者が給付金支払請求を出すことは稀で、一般的には配偶者が『指定代理請求者』として特約給付金を請求することが多いようです。
誤解しやすいのですが、このような場合、配偶者が保険受取人となるのではなく、あくまでも受取人は被保険者である点に注意してください。
そして、もし、被保険者が特約給付金を受取った後に死亡し、死亡時(相続開始時)にそれが使われずに現金や預金等として残っている場合には、被保険者(=被相続人)の相続財産として相続税の課税対象となります。
また、この場合、死亡保険金としてみなし相続財産となるのでなく、現金や預金等の金融資産として本来の相続財産に該当しますので、生命保険金の非課税の取扱い(その被保険者の法定相続人一人につき500万円の非課税枠)はありませんので注意してください。
(文責:
辻・本郷税理士法人 http://www.ht-tax.or.jp/)
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