M&Aは、上場企業の再編手法としてのみならず、中小企業においても業績拡大や事業再生、そして事業承継を目的とするものなど、その活用の裾野は広まり、今や経営戦略上重要なツールとなっています。また、金融機関には、日常の取引を通じて事業の売りや買いのニーズなどM&Aに繋がるあらゆる顧客情報が蓄積されており、それを十分に活かして取引先のM&Aを主導する役割が求められています。特に中堅・中小企業においては、検討段階から売買のマッチング、案件の実行、事後管理などの支援に深く関与することが、顧客・地域に密着した経営支援機能が要請される地域金融機関としての使命といえるでしょう。本書は金融機関の法人担当者が、中堅・中小企業の事業承継や過剰債務での悩み、あるいは戦略的提携の希望など、M&Aが解決の処方箋の一つとなる場合に、コンサルティング機能をいかんなく発揮できるよう、取引先支援に必要なM&Aの基礎知識を余すところなく解説しました。
銀行員に必要なM&Aの基礎知識を全て網羅
●買い手・売り手の両視点から解説
銀行員は、M&Aアドバイスにおいては、買い手・売り手のいずれの立場にもなる可能性があります。本書では、買い手と売り手の実務知識を分けて解説し、どちらの視点からでもアドバイスができるよう構成しました。
●中小企業M&Aの頻出事例を収載
中小企業のM&Aは、業績不振対策や業績拡大を目的とするもの、事業承継を目的とするものが多く行われます。本書ではそれぞれ典型的なM&Aスキームを活用した頻出事例を収載しました。
●豊富な図表によるビジュアル解説
図表・図解を多用し、難解なイメージのM&Aや組織再編等のスキームも、視覚的にわかりやすくしました。豊富な図表と図解は、M&Aの実務フローをイメージする一助となるでしょう。
(主要目次)
序 章 金融機関の営業戦略とM&Aビジネス
第1章 M&Aライフサイクル
第1節 ライフサイクルから見たM&Aプロセス
第2節 M&A実行に際しての留意点
第3節 M&Aの実務(手順・手続)
第2章 バイサイドM&A~買い手におけるM&Aのプロセス
第1節 M&A戦略の策定
第2節 ターゲットの選定
第3節 デューディリジェンス
第4節 M&Aの実行
第5節 統合と事後実務
第3章 セルサイドM&A~売り手におけるM&Aのプロセス
第1節 事業売却の検討
第2節 売却の準備
第3節 売却の実行
第4節 再生企業のM&A
第4章 9つの事例でみるM&A事例
第1節 業績不振企業のM&A事例
第2節 業績拡大企業のM&A事例
第3節 事業承継型のM&A事例
デロイト トーマツ FAS株式会社 編著
A5判・並製・320頁・平成21年5月発行