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提案シート第T編 事業承継基本編 2.事業承継の流れと重要ポイント (2)大きな課題となる「人(経営)の承継」

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A 人(経営)の承継スケジュール

・2011 年「事業承継実態調査報告書」によると、 後継者の育成に必要な期間について「約5年」又は「5年〜 10 年」と回答した経営者が全体の半数以上を占めています。
・事業運営を承継できる後継者を確保するには時間がかかるため、将来を見据えて後継者の選定、育成を進める必要があります。




@どのくらいの期間がかかるのか

 人(経営)の承継において、後継者が決まっていないような場合は、その候補者作りから始まりますから、5〜10年かけて取り組むというのが一般的です。後継者がほぼ決定しているような場合であれば5年が一つの目安となります。つまり、後継候補者が複数いるような場合は5年をかけて後継者を絞り込み、実質的な人(経営)の承継に5年をかけるということです。

 後半の5年間ですが、最初の3年で現経営者から後継者へのバトンタッチを行い(現経営者は代表取締役を退任)、後半2年は、後継者・後継幹部が経営を主導しますが、退任した経営者は会長等の立場で後継者をサポートしていく期間となります。
 なお、後継者が決まっていない場合の、後継者の選定および育成については、「後継者の選定」、「後継者の育成」で解説します。


A現経営者に求められること

 後継者の選定プロセスも踏まえると10年という人(経営)承継スケジュールの中では、現経営者には次の取組みが求められます。

イ.収益性の強化

  通常、後継者への承継直後は業績が停滞気味になるものです。収益性をできる限り強化しておけば、後継者は承継直後の不安定な状況を乗り切ることができます。

ロ.事業・経営者のノウハウの「見える化」

 「人(経営)の承継の現実と対策の概要」で詳しく示した無形資産にとどまらず、現経営者が経験則から当たり前にできていることを「見える化」する、ということです。現経営者にとって当然の判断の裏側にあるノウハウを見える形にして伝授することがなければ、後継者は同様の判断を絶対にできないと言えます。

ハ.古参幹部の処遇決定

 現経営者と共に事業を築き上げてきた古参幹部は、後継者にとって厄介な存在となるリスクもあります。現経営者退任のタイミングで一線を退いてもらうよう働きかけることも現経営者に期待される役割です。


B後継チームの立ち上げ

 中小企業では特に、現経営者が全てを取り仕切っているということが多いものですが、その全てを後継者が行うというのは現実的ではありません。後継者を支える経営幹部を選定し、上記「見える化」のプロセスにこれら幹部を巻き込みながら、「後継チーム」を立ち上げていきます。


C中期経営計画の策定

 この中期経営計画は、現経営者が退任し、後継者が新経営者として実施する計画です。この計画の遂行状況を会長等として2年程度見届け、新経営陣の経営に安心感を抱くことができれば、人(経営)の承継が完了します(計画策定の詳細は「中期経営計画の意義・作成方法」参照)。

(文責: 辻・本郷税理士法人 http://www.ht-tax.or.jp/

 

 

 

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