注目のニッチビジネス

1016
横引き式シャッターの製造・開発・販売
製造

ショッピングモールや空港、列車の駅で、左右に引く横引き式のシャッターを見かけることはないだろうか。このシャッターを約40年前に開発し、販売するために設立された会社が、株式会社横引シャッター(東京都足立区)だ。

顧客の声から製品を開発

横引シャッター社の設立は、約40年前に、前社長を務めた市川社長の父が、日本で初めて上吊式横引きシャッターを開発・製造したことに始まる。きっかけは、シャッターの修理を手掛ける中央シャッター社が、当時「従前の横引き式は下部に戸車があるので、レールに埃やゴミが入ると動かなくなるうえに、故障も多い」との声を受け、上部に戸車を取り付ける上吊り式横引きシャッターを開発したことによる。独自の技術により特許を取得した製品を販売するために、前社長は製品名を名前とした会社を新設した。

「横引き式シャッターは、しゃがまずに横に引くだけで開閉できますので、高齢の方でも負荷がなくご利用いただけます。また上下式は設置時に柱が必要ですが、横引き式はカーブを描いて稼働できるため、場所をあまり問わない。ただ一方、接続や取り付けに精度が求められるため、同じ大きさでは上下式より約1.3〜1.8倍価格が違います。それでも『1日1回の開け閉めが大変』というお客様には横引き式をお勧めします」と市川慎次郎社長は話す。

商業施設での設置を機に浸透

同社の横引き式シャッターは、販売当初は造幣局等の特殊施設に採用されていたが、注目されたのは約20年前、都内の大規模商業施設のテナント用に採用されたことだ。当初は建築基準法改正により天井の高さが低く緩和されたため多くのテナントが出店できるようになったが、一方で収納箱が必要な上下式シャッターでは対応が難しかった。そこで、収納箱を必要としない横引シャッターは好評を得て、その後他の商業施設でも採用され始めた。

また近年、同社ではシースルータイプの製品の需要が高まっているという。「このような製品は、閉店後の見込客獲得に繋がるとともに、万が一盗難に入られても外から姿や行動を見られてしまうことから、一層の防犯効果の向上が期待できます」と市川社長。さらに、「コロナ禍のここ一年は、社内体制の強化や製品の精度向上に努めた。コロナ終息に伴い海外への展開に注力したい」とのことだ。

会社紹介
→株式会社 横引シャッター
住所:東京都足立区綾瀬6-31-5
電話:03-3628-4500 URL:https://www.yokobiki-shutter.co.jp/
代表:市川慎次郎
設立:1986年4月
年商:2,695万円(2021年3月期)
事業内容:横引き式シャッターの設計・製造・施工及び販売 他