建設業
653

大工

0711

景気予測お天気マーク

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このシグナルは、現状から今後6ヵ月間の見通しを短評。

主として大工工事(型枠大工工事を除く)を行う。国土交通省の「建設業許可業者数調査」によると、平成28年の大工工事業許可業者数は68,629社(前年比0.9%増)と、近年は増加傾向で推移してきている。また、「建設工事施工統計調査報告」によると、大工工事業の完成工事高は平成25年度以降回復基調にあり、平成26年度の大工工事業の就業者数は、前年度比で21.6%増加している(ただし、型枠大工工事等の就業者を含む)。就業者数の増加要因としては、プレカット木材の利用を増やすなど低い技術で施工できるようにしたことで、他業種からの職種転換のハードルを下げたためであると考えられる。しかし、高い技能を持った職人は高齢化し、高い技能を求める若年層の入職が不足している状況は続いているため、業界の将来性は不安要素も多い。今後は、新築工事はプレカット木材の利用が主となり、リフォーム工事など小規模工事で需要が伸びていくことが予想され、国土交通省の『すまい給付金』や『長期優良住宅化リフォーム推進事業』などの効果が期待されている。(平成28年11月改訂/日本マルチメディア・エクイップメント㈱・高田守康  http://www.jmenet.com

6082.jpg業界動向

許可業者数の推移

大工工事業

許可業者数

対前年伸び率

全業種対

前年伸び率

平成26年度

66,630

1.6%

1.0%

平成27年度

67,984

2.0%

1.5%

平成28年度

68,629

0.9%

0.6%

資料:国土交通省『建設業許可業者数調査の結果について-建設業許可業者の現況(平成28年3月末現在)-』

(※)1社が複数の建設業許可を取得することができるが、近年はその取得件数を増やす傾向があるため、実際の増加数とは一致していないことに注意を要する。

 大工工事業には木造住宅の大工工事のほかに、コンクリート工事の際に型枠を作る型枠大工工事がある。木造住宅の大工工事の需要は新築住宅の着工件数に左右され、型枠大工工事の需要はコンクリート工事の件数に左右される。

 木造住宅の大工は職人仕事だが、近年は若者に敬遠されて高齢化が進んでいる。木造住宅の総需要が減少する中で人件費の高止まりもあり、経営環境が年々悪化している。

 型枠大工工事も大きな業界で、業界団体の(一社)日本建設大工工事業協会には541社が加盟している(平成28年10月1日現在)。型枠大工工事はコンクリート建築の中で大きな役割を果たしており、工事コスト上、躯体工事の40〜45%を占める。

 建築工事は9割以上が民間発注工事であり、景況に大きく左右される。

■ 建築着工統計

(1)建築物計

 

25年度

26年度

27年度

前年度比

構成比

建築物計

148,456千㎡

130,791千㎡

129,604千㎡

▲0.9%

100.0%

(2)建築主別

 

25年度

26年度

27年度

前年度比

構成比

公 共

10,292千㎡

9,084千㎡

7,092千㎡

▲21.9%

5.5%

民 間

138,164千㎡

121,707千㎡

122,512千㎡

0.7%

94.5%

(3)用途別

 

25年度

26年度

27年度

前年度比

構成比

居 住

92,198千㎡

78,179千㎡

79,436千㎡

1.6%

61.3%

非居住

56,258千㎡

52,612千㎡

50,168千㎡

▲4.6%

38.7%

(4)構造別

 

25年度

26年度

27年度

前年度比

構成比

木 造

61,997千㎡

52,654千㎡

54,139千㎡

2.8%

41.8%

非木造

86,459千㎡

78,137千㎡

75,465千㎡

▲3.4%

58.2%

資料:国土交通省 『建築着工統計調査報告』(平成27年度分)

6089.jpg業態研究

業種別就業者数

大工工事業

建設業

就業者数

従業者数

常雇等

臨時・日雇

労務外注

労働者数

平成26年度

52,623

34,757

33,558

1,198

17,866

構成比

1.8%

1.3%

1.3%

1.0%

7.5%

前年度比

21.6%

6.7%

11.4%

▲51.3%

66.8%

資料:国土交通省『建設工事施工統計調査報告』(平成26年度実績)

■ 請負契約額と主な発注者

発注者別(民間発注と公共発注)の元請完成工事高 (単位:百万円)

大工工事業

総数

民間発注工事

公共発注工事

平成24年度

元請完成工事高

83,472

79,458

4,013

前年度比

▲21.6%

▲21.5%

▲23.0%

平成25年度

元請完成工事高

116,591

106,465

10,126

前年度比

39.7%

34.0%

152.3%

平成26年度

元請完成工事高

96,974

92,105

4,869

前年度比

▲16.8%

▲13.5%

▲51.9%

資料:国土交通省『建設工事施工統計調査報告』(平成26年度実績)

■ 経営形態

 大工は歴史的に古くからあり伝統的職人といえる。どちらかといえば零細企業として推移してきたが、建築規模の拡大、設計技術の高度化、建築様式の多様化などの結果、分化してきている。つまり、資力、設計技術を持った者はいわゆる工務店と称する元請業者となり、資力、設計技術のない者はこれに従属する下職大工となった。

■ 大工の養成

 戦前は、徒弟制度として行われ、親方の家に寝起きしながら腕をみがき、1人前になってもお礼奉公としてある期間勤め上げた。戦後は、時代風潮もあって、弟子的観念というよりは従業員としての意識が強く、親方についてその技術を吸収し腕をみがくといった昔気質はなくなった。その結果、一とおりの技術を身につけてしまうと、その腕を頼りに金銭的に高いほうへ移り歩くという傾向ができている。

6031.jpg流通・資金経路図

k_653.gif

6098.jpg営業推進のポイント

■ 売上の見方

 国土交通省『建設工事施工統計調査報告』(平成26年度実績)(平成28年3月公表)(大工工事業)によれば、次のとおり。

(1)工事高 (単位:百万円)

 

平成25年度

平成26年度

完成
工事高

元請完成
工事高

下請完成
工事高

完成
工事高

元請完成
工事高

下請完成
工事高

金額

584,199

116,591

467,608

732,190

96,974

635,217

元請

比率

20.0%

13.2%

前年

度比

17.2%

39.7%

12.7%

25.3%

▲16.8%

35.8%

(2)付加価値 (単位:百万円)

 

労務費

人件費

租税公課

営業損益

平成25年度

金額

130,638

42,762

69,667

4,732

13,477

前年

度比

22.3%

21.3%

13.9%

94.7%

69.3%

平成26年度

金額

169,342

58,716

75,317

12,244

23,065

前年度比

29.6%

37.3%

8.1%

158.7%

71.1%

資料:国土交通省『建設工事施工統計調査報告』(平成26年度実績)

 帝国データバンク『第58版全国企業財務諸表分析統計』平成26年度・平成27年11月発行(大工工事業)によれば、売上に関する主な指標は次のとおりである。

   1人当たり売上高  48,599千円

   売上高増加率  16.32%

■ 採算の見方

1前掲『第58版全国企業財務諸表分析統計』によれば、採算に関する主な指標は次のとおりである。

   総資本経常利益率  6.29%

   売上高総利益率  25.40%

   売上高営業利益率  2.41%

   売上高損益分岐点倍率  1.13倍

2採算については、手間賃収入が主体であるので、効率のよい仕事さえしていれば安定した業種といえる。

■ 取引深耕のチェックポイント

1経済的環境の変動に対する即応能力が弱い個人経営が主体であるが、業歴が長い場合には個人資産の蓄積はどの程度あるか。

2昔気質の人が多く技術中心であるため、金銭感覚に弱い場合も多い。配偶者が管理している場合が多いので配偶者がしっかりしているか。

6105.jpg融資判断のポイント

■ 〈審査のポイント〉

 営業力や技術力の評判だけでなく、施工体制の常雇用化、従業員の資格取得補助などに積極的に取り組む長期的視点に立った企業を支援したい。職人の確保が難しくなっている状況であっても、日雇いや外注活用型、短期解雇が目立つ企業は慎重に対応すべきである。

 元請の支払能力にも留意が必要である。ほとんどの企業は複数の特定の元請企業との取引であると考えられる。主要な取引先の経営状況の把握も重要となる。

■ 運転資金

 配下の大工はほとんどが日給制で、月2回、15日と月末に支払う場合が多い。配下大工の中には前借りを申し込んでくる場合があるが、大工職人の引止め策として対応が必要となる。こうした立替資金需要はあるものの、借入申込となることはまれである。融資は、金銭的にも少なく、短期の取扱いとなる。

■ 設備資金

 資金需要としては、機械工具や車両運搬具の購入資金程度である。大口の資金需要となった場合には、焦げ付き債権の発生、経営者個人の投資資金などの場合があるので、充分に注意する必要がある。

■ 返済原資

 〔税引後予想利益+減価償却費-既借入金返済額=返済原資〕とみて、投資額の回収が可能かどうかを検討する。

■ 〈制度融資ガイド〉

<国土交通省関係>

 地域建設業経営強化融資制度、下請資金繰り支援事業

 下請債権保全事業

主な経営指標

調査年

項目

平成24年度

平成25年度

平成26年度

収益性

総資本経常利益率

1.21%

3.50%

6.29%

売上高総利益率(粗利益率)

23.13%

24.23%

25.40%

売上高経常利益率

0.18%

1.28%

3.03%

売上高営業利益率

▲0.78%

0.65%

2.41%

売上高金利負担率

0.77%

0.66%

0.56%

効率性

総資本回転率

2.49回

2.59回

2.47回

売上債権回転期間

1.31月

1.29月

1.23月

棚卸資産回転期間

1.00月

1.04月

0.97月

買入債務回転期間

0.81月

0.79月

0.78月

安定性・流動性

自己資本比率

▲11.94%

▲8.74%

▲0.25%

流動比率

209.74%

200.47%

196.16%

固定長期適合率

50.40%

48.30%

52.43%

成長性・生産性

売上高増加率

12.40%

11.73%

16.32%

経常利益増加率

90.38%

104.02%

150.42%

1人当たり売上高

43,952円

46,958円

48,599千円

採算性

売上高損益分岐点倍率

1.04倍

1.07倍

1.13倍

集計企業数

1,008社

1,052社

1,094社

料:帝国データバンク『全国企業財務諸表分析統計(第56〜58版(平成25〜27年発行))』(大工工事業)