景気予測お天気マーク
このシグナルは、現状から今後6ヵ月間の見通しを短評。
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一般 クリーニング所 |
クリーニング師 免許件数 |
従事 クリーニング師数 |
2018年度 |
25,713 |
1,040 |
41,004 |
2019年度 |
24,727 |
1,038 |
39,669 |
2020年度 |
23,403 |
887 |
37,862 |
資料:厚生労働省『衛生行政報告例』2022年1月公表より作成
1.総務省『家計調査年報』(2022年2月公表)によると、1世帯当りの消費支出に占めるクリーニング代の割合は、1992年の19,243円をピークに年々減少し、2021年は4,220円と、約8割近くも減少している。これは、景気の先行きの不透明感による消費の引き締めがクリーニング代にも影響を及ぼしていることや、家庭で洗濯可能なドライクリーニング衣類が開発されたこと、ならびに気候変動による衣類の着衣頻度が変更したことなどが影響している。また2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻によりロシア産石油の禁輸措置が取られたことで、原油価格が高騰しており、価格に反映せざるを得ない状況に追い込まれている。
2.新規開業の増加や大手企業の進出による過当競争・料金競争の激化、衣料素材の多様化などに伴う事故の多発、ドライクリーニング溶剤の人体・環境に及ぼす影響への対応など、クリーニング店が抱える課題は山積状態である。特に、人手不足は深刻な問題となっており、若者層だけでなく主婦などのパートの確保も難しい状況が続いている。労働条件の厳しさがその理由の一つとして考えられ、サービス残業などの労働問題も取り沙汰されている。人手不足を解消するためには、まずは労働環境の整備を行うことが重要と考えられる。
3.個別の企業を見る場合は、衣料品の保管サービスや宅配便による衣料品のお届け、衣料品以外を洗うサービス、他業種と連携をして衣料品のお直しサービスを強化する取組み等、多様化する消費者のニーズに対応した新サービスの開発がポイントとなるであろう。また、染み抜き技術のさらなる高度化・強化などの既存事業の深化も重要である。
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洗濯代 |
2019年 |
5,936円 |
2020年 |
4,661円 |
2021年 |
4,220円 |
資料:総務省『家計調査年報』(2022年2月公表)
1.顧客を一般家庭とするホームクリーニングを業態別に大別すると、自家処理施設を有する「一般店」と、受取り・保管・引渡しのみを店頭で行う「取次店」とに分かれる。
(1)一般店は、自店での処理はドライクリーニングを中心とし、ワイシャツや布団等は外注するケースが多い。
(2)取次店には、集中処理業者の直営店とFC店がある。「集中処理業者」は取次店を多数展開して、大規模工場にて集中処理をする。一般店などから委託を受けて処理する業者を「ホールセール」といい、ワイシャツを中心とした白物を受注する業者と特殊物(皮革・着物等)の処理をする業者に大別される。
(3)処理技術は、ドライクリーニングとランドリーに大別される。ドライクリーニングは溶剤を使用して洗濯を行う。ランドリーは洗剤を使用する水洗いである。衣料品に付いている指示に従って使い分けを行う。
一般店では、7時から20時まで営業を行う施設が最も多い。取次店では、8時から19時までが最も多い。しかし、取次店も競業上、7時から20時までに営業時間を延長する傾向にある。営業時間が10〜14時間の施設が約8割を占めている。
クリーニング業法により、保健所長を経由して都道府県知事に必要事項を届出し、施設の使用開始前に衛生基準などの検査・確認を受けなければならない。また、一般店など処理施設を有する施設にはクリーニング師を置かなければならない。これは、中学校卒業者以上を対象に、試験によって都道府県知事が与える国家資格である。
ドライクリーニングに使用される有機溶剤はクリーニング業者によってさまざまだが、大きく塩素系と石油系に分類できる。また、洗剤は陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、あるいは非イオン界面活性剤に分類できる。
1.一般店(自家処理)は、主にクリーニング料金収入による。取次店は取次報酬(売上の20〜30%)が収入源となる。
2.帝国データバンク『第64版全国企業財務諸表分析統計』2020年度・2021年11月発行(洗濯業)によれば、売上に関する主な指標は次のとおりである。
1人当たり売上高 30,218千円
売上高増加率 ▲9.23%
3.ホームクリーニングの需要は、春秋(4〜6月および9〜10月)の衣替えの時期に集中し、1〜2月および8月は低く季節変動が極めて大きい。
4.衣料の多様化により、特殊専門技術の必要性が増しているドライクリーニングの売上は順調である。一方で、家庭洗濯やウォッシャブル製品に置き換えられてランドリーのウエイトは低下傾向にある。
前掲『第64版全国企業財務諸表分析統計』によれば、採算に関する主な指標は次のとおりである。
総資本経常利益率 ▲0.94%
売上高総利益率 50.38%
売上高営業利益率 ▲2.95%
売上高損益分岐点倍率 1.02倍
1.安全性の高い溶剤を使用するなど、環境問題に取り組んでいるか。
2.顧客に対する応対は、親切、丁寧、迅速か。商品知識はあるか。店舗は清潔か。仕上りは早くてきれいか。仕上り日は確実か。
3.広告宣伝、集配達、クレーム処理などについて、前向きに取り組んでいるか。
4.商圏や顧客の開拓に努力しているか。夜間生活人口、共稼ぎ世帯、単身者世帯の増加など、顧客のライフスタイルの変化に対応しているか。
5.新素材に対する技術を常に取り入れる努力をしているか。技術改善、材料改善の研究に意欲的か。家族、従業者に対する技術の修得やサービス向上のための教育、応援を行っているか。
6.価格の研究に熱心か。期間・品決めの割引サービス、サービス券の発行、価格の設定などを総合した価格政策は妥当なものか。
7.設備投資は先行投資的要素が高いため、投資効果に見合う受注確保が期待できるのか。需要を増やすためのアイデアがあるか。人口など商圏の将来性、競合店の有無はどうか。
8.POSシステムを導入し、預かった商品の管理をしっかり行っているか。
9.万一に備え保険に加入しているか。
1.クリーニング業界の市場規模は年々縮小しているとともに、事業所数も減少傾向にある。特に従業者1〜4人の小規模事業所および取次店の減少が進んでいる。要因としては、洗濯機および洗剤の高機能化、衣料品の素材革新、さらに消費税率引上げ、景気の先行き不透明による家計の支出抑制があげられる。
2.近隣他店とのサービスの差別化および地域ニーズを的確に把握しそれに対応しているか。技術面の向上、特に特殊シミ抜きや衣料品の新素材に対応した洗濯手法、高級クリーニングや撥水加工技術を習得しているか。やや難しいが、革製品や毛製品のクリーニング技術の習得にも注力する必要がある。すなわち、自店の「売りは何か」を明確に打ち出し、これをどのようなメディアを使ってPRしているかが重要となる。必要であれば、集荷、配達のサービスも差別化の一つである。
3.顧客とのトラブル回避の観点から、クリーニング受付時に仕上りについての事前説明を必ず行うことが必要で、それには経営者、従業者の繊維製品に対する知識、クリーニング知識の向上を図らなければならない。
4.業界の問題点として、経営者の高年齢化があげられる。経営者を年齢階層別にみると、「70歳以上」が39.8%で最も多く後継者難に陥っている(厚生労働省『平成27年度生活衛生関係営業経営実態調査』クリーニング業)。
5.店舗は自前か、といった点や、業歴、知名度、風評なども重要な判断ポイントである。
1.顧客の多くが一般家庭であるため現金回収が多い。持ち込みの場合は前受けまたは仕上り時、掛の場合でも1週間から1カ月と短く、回収不能も少ないので、運転資金の必要性はあまり生じない。
2.ただ、需要の落ち込む2月、8月などに運転資金が不足しがちである。
1.近年、クリーニング業は環境変化に対応するため、資本・技術集約的になりつつある。(ア)人件費などコスト上昇に対応するための合理化・省力化投資、(イ)多様な新素材の登場に対処するための新鋭機導入、(ウ)公害問題に対処するための汚水、薬剤処理施設改善投資、(エ)集中処理工場建設費、取次店開設(店舗費)投資、集配・保管システム構築投資などの経営形態の転換に伴う投資などがその例である。
2.ドライクリーニング施設の更新も含め、これらの投資は相当な金額になり固定費も増大する。設備投資計画の妥当性(投資規模、実施時期、効果、需要予測)を十分検討し、あわせて、技術・サービスなどの裏付の有無も確認する必要がある。
3.日本政策金融公庫など、低利の制度融資利用がポイントとなる。
調査年 項目 |
2018年度 |
2019年度 |
2020年度 |
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収益性 |
総資本経常利益率 |
3.46% |
2.90% |
▲0.94% |
売上高総利益率(粗利益率) |
50.54% |
49.03% |
50.38% |
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売上高経常利益率 |
2.91% |
2.58% |
▲1.21% |
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売上高営業利益率 |
2.69% |
2.02% |
▲2.95% |
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売上高金利負担率 |
0.85% |
0.79% |
0.95% |
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効率性 |
総資本回転率 |
1.33回 |
1.45回 |
1.20回 |
売上債権回転期間 |
1.21月 |
1.23月 |
1.12月 |
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棚卸資産回転期間 |
0.34月 |
0.32月 |
0.32月 |
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買入債務回転期間 |
0.44月 |
0.47月 |
0.42月 |
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安定性・流動性 |
自己資本比率 |
23.94% |
25.20% |
19.17% |
流動比率 |
268.53% |
241.35% |
314.49% |
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固定長期適合率 |
80.01% |
75.02% |
73.92% |
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成長性・生産性 |
売上高増加率 |
4.69% |
2.18% |
▲9.23% |
経常利益増加率 |
16.11% |
9.63% |
▲196.90% |
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1人当たり売上高 |
31,948千円 |
31,585千円 |
30,218千円 |
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採算性 |
売上高損益分岐点倍率 |
1.07倍 |
1.07倍 |
1.02倍 |
集計企業数 |
171社 |
172社 |
186社 |
資料:帝国データバンク『全国企業財務諸表分析統計(第62〜64版(2019〜2021年発行))』(洗濯業)