卸売業
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履物卸売業

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このシグナルは、現状から今後6ヵ月間の見通しを短評。

経済産業省『商業統計表・産業編』(平成27年12月公表)によると、靴・履物卸売業の平成26年の事業数は1,307所、従業員数は14,219人、年間商品販売額は710,237百万円となっている。季節性やファッション性、機能性などに対する市場ニーズは多様化しており、履物への消費金額の推移を見るとやや上向きになっている。(平成29年7月改訂/中小企業診断士・宮澤俊基  http://gennovation.co.jp

5709.jpg業界動向

 

年間商品販売額

事業所数

従業員数

平成14年

1,165,714百万円

2,243

21,971人

平成19年

975,583百万円

1,770

17,832人

平成24年

604,517百万円

1,367

13,489人

平成26年

710,237百万円

1,307

14,219人

資料:経済産業省『商業統計表・産業編』平成27年12月公表(靴・履物卸売業)、平成24年は総務省『経済センサス-活動調査』平成25年11月公表(靴・履物卸売業)

 ※複数の出典からなる上記指標について、各調査項目の定義、調査時点の相違などから、厳密には両指標の数値と連結しない部分がある。数値の解釈に当たっては留意されたい。

履物類への消費金額の推移 (単位:円)

 

平成25年

平成26年

平成27年

履物類

19,559

20,397

19,857

運動靴

3,999

4,146

4,413

サンダル

625

572

538

男子靴

3,992

4,022

4,058

婦人靴

7,843

8,254

7,797

子供靴

1,069

1,105

1,028

他の履物

2,030

2,297

2,024

資料:総務省「家計調査年報(1世帯当たりの品目別支出金額(二人以上の世帯))」平成28年2月公表

1靴・履物卸売業界では、従業者数が9人以下の小規模事業者が全体の71.9%を占めている。

2中小製造業者と連携し、系列化やチェーン展開を図り、業績の改善を目指す企業が増加傾向にある。

3長年の景気低迷による影響で、百貨店や専門店と連携することで、市場ニーズに合致した独自商品を新たに開発し、販売の拡大を図ろうとする動きが活発化している

4下駄・草履は高級化や嗜好品化が進む一方、顧客が特定化傾向にあるため需要は減少しており、小規模専業化と総合化といった二極化が進展している。健康志向の高まりに伴い、歩きやすく疲れにくい機能性に優れた靴や、ランニングやウォーキングといった目的に応じたシューズなどの需要が高まる傾向にある。また、最近は健康を意識した中敷きに注目が集まっており、小売店での売場面積を増やしている。

5718.jpg業態研究

■ 流通形態

 履物には紳士・婦人・子供用に分類され、革靴や合成皮革・ビニール靴やメーカーブランドのキャンバスシューズ・ゴム靴、ゴム草履など量産製品の取扱いが多く、多種類にわたりメーカーの地域代理店として、地域の流通に大きな役割を果たしている。紳士靴は、定番品が主流のため、大手メーカーが直接小売店に卸す場合が多い一方、婦人用は、ファッション性が高く、流行サイクルも短いことから、小規模のメーカーが多く、卸売業が介在するケースが大半である。また需要の低下に伴って、和装履物を取り扱う事業者は減少傾向にある。

■ 商品管理

 実用性の高い商品群も最近では新素材・新製品の開発などにより変化するので保有在庫に注意する。またデザイン・カラー・素材に関連する流行性が強く、シーズン性のある商品など輸入商品も含め、仕入を誤ると、デッドストックになりかねない。したがって商品管理に絶えず注意する必要がある。

■ 経営形態

 最近は履物卸商として多種類にわたる商品を取り扱ってきたが、その専門性から商品種類を絞り込み販売効率の向上を図るところが多くなってきている。特に販売面での顧客の発注システムの厳しい要求もあり、これに対応した補充、配送物流システムの確立は欠かせず、商品面では新商品の投入など常に新規性を打ち出すことが要求されている。

■ 回収方法

 回収方法は現金販売が2割弱、手形等の信用販売が8割強である。

5695.jpg流通・資金経路図

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5725.jpg営業推進のポイント

■ 売上の見方

1帝国データバンク『第59版全国企業財務諸表分析統計』平成27年度・平成28年11月発行(靴・履物卸売業)によれば、売上に関する主な指標は次のとおりである。

   1人当たり売上高  70,121千円

   売上高増加率  4.37%

2市場は供給が需要を上回っているので、販売競争が激化している。卸商として、どのくらい小売店のチェーン化や安定的な販売ルートを確保しているかをよく見極める必要がある。

■ 採算の見方

1前掲『第59版全国企業財務諸表分析統計』によれば、採算に関する主な指標は次のとおりである。

   総資本経常利益率  2.25%

   売上高総利益率  25.44%

   売上高営業利益率  0.68%

   売上高損益分岐点倍率  1.09倍

2顧客の動向を絶えずキャッチするために市場調査に力を入れ、それに対応する仕入、販売対策を含めた商品企画、管理が収益内容を左右することとなる。

■ その他の着眼点

 前掲『第59版全国企業財務諸表分析統計』によれば、効率性・安定性に関する主な指標は次のとおりである。

   総資本回転期間  8.19月

   固定資産回転期間  2.21月

   自己資本比率  20.90%

   流動比率  313.22%

■ 取引深耕のためのチェックポイント

1経営者は業界事情に精通しているか。商品は季節性・流行性・消費者行動の変化による影響を受けて変貌が激しい業界であり、常に商品情報、動向調査など行う必要がある。特に、把握したニーズをいち早くメーカー企業に提案し、企画・製作を主導することで、自社のメーカー機能を、補完・強化することがポイントとなる。

2経営者の人柄、経営組織、管理部門担当者の能力、セールスマン、従業員のレベルなどについて、業界他社と比べ検討する。

3卸売業者の持つ機能として、仕入・在庫・販売・配送・危険負担・金融情報などいくつかあるが、経営相談を利用しながら計数管理、在庫管理、物流管理、従業員教育などの指導機能を活用させることにより、卸売業者の機能を十分発揮せしめるよう努力する。

4商品の展示会、小売店援助、研修会の企画など積極的に行っているかなども検討する。

5734.jpg融資判断のポイント

■ 事業性評価のポイント

 履物卸売業は競争が激しく、大型小売店によるチェーン化、メーカー直販方式などにより、業界の存続基盤が縮小傾向にある。それだけに商品の魅力、マーケティング能力、商品企画力などにより優劣・業界地位を決定する。これらが将来へのチェックポイントである。

■ 運転資金

1短期運転資金は、売掛金回収までのつなぎ資金、季節納品、流行商品に対する手当て資金などであるが、他行からの借入返済資金などもあり、資金使途の適否や代金回収の計画・確実性について検討すること。

2長期運転資金は、倉庫拡張、商品手当、販売不振による在庫滞貨、債権の不良化発生、赤字補填などによって起こる。

 その際、資金投入の効果が最も重要なので、その点を十分検討し、担保条件などを徴求のうえ融資することが必要である。

3金融機能を十分発揮できるように運転資金需要期には、金融資先行の形で取引の開拓を行う。またメーカーへの支払に際しては、資金トレースに心がける必要がある。

■ 設備資金

1社屋建設、倉庫新築または拡張、物流や事務管理の効率化、多機能化のための情報システム導入に対して資金需要が発生するので、事業計画、合理化計画の妥当性、着工・竣工の時期、システム導入時期、機器導入時期、資金計画での無理がないかどうか、返済計画、増加運転資金の手当について、総合的観点から検討する必要がある。

2将来の倉庫建設資金調達、商品ショールームの開設などに備えて、毎月の売上代金から一定額を積立預金へ勧誘のうえ、預金歩留まりの向上を図る。

■ 債権保全

 卸売業者は、扱高に対して担保不足になりやすい業種である。不動産担保徴求に際しては、その種類、評価、先順位など通常の注意はもちろんのこと、一定の与信限度も定めておく必要がある。

■ 返済原資

 所要資金に対しての返済原資として、税引後の純利益額と減価償却費、内部保留額などから十分な原資が確保できるかどうか、将来を予測して検討する。

 〔税引後予想利益+減価償却費-既借入金返済額=返済原資〕

 とみて、投資額の回収が可能かどうかをみる。

■ 他のチェックポイント

 履物卸売業は競争が激しく、大型小売店によるチェーン化、メーカー直販方式などにより、業界の存続基盤が縮小傾向にある。それだけに商品の魅力、マーケティング能力、商品企画力などにより優劣・業界地位を決定する。これらが将来へのチェックポイントである。

■ 〈制度融資ガイド〉

 日本政策金融公庫融資、セーフティネット保証、その他、各自治体等による制度融資あり

主な経営指標

調査年

項目

平成25年度

平成26年度

平成27年度

収益性

総資本経常利益率

1.50%

2.81%

2.25%

売上高総利益率(粗利益率)

25.98%

25.15%

25.44%

売上高経常利益率

1.13%

1.11%

0.59%

売上高営業利益率

0.08%

1.11%

0.68%

売上高金利負担率

0.63%

0.61%

0.63%

効率性

総資本回転率

1.87回

1.86回

1.93回

売上債権回転期間

1.99月

2.02月

2.02月

棚卸資産回転期間

1.48月

1.49月

1.74月

買入債務回転期間

1.12月

1.19月

1.15月

安定性・流動性

自己資本比率

23.36%

24.77%

20.90%

流動比率

306.96%

287.80%

313.22%

固定長期適合率

46.74%

43.86%

35.73%

成長性・生産性

売上高増加率

0.10%

4.33%

4.37%

経常利益増加率

82.88%

23.08%

24.31%

1人当たり売上高

79,123千円

80,329千円

70,121千円

採算性

売上高損益分岐点倍率

1.04倍

1.04倍

1.09倍

集計企業数

97社

101社

118社

料:帝国データバンク『全国企業財務諸表分析統計(第57〜59版(平成26〜28年発行))』(靴・履物卸売業)