建設業
671

ガス工事業

0839

景気予測お天気マーク

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横
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このシグナルは、現状から今後6ヵ月間の見通しを短評。

主としてガス導管配管、ガス内管配管、送油管配管、プラント配管、その他の配管工事を行う。ガス工事は、個人住宅や飲食等の商業施設で施工される割合が高い。そのため、ガス工事業の業況は、建設・不動産業者の新設住宅着工戸数の推移に大きく左右される。建設業許可において、ガス工事は管工事に含まれるが、国土交通省『建設工事施工統計調査報告』によれば、管工事の完成工事高は平成25年で前年度比4.6%増、平成26年度は同3.5%増となった。平成29年4月から予定されている都市ガス自由化により、ガス工事業者への影響も少なからず予想されるため、今後の動きに注視しておく必要がある。国土交通省『建設業許可業者数調査』によれば、管工事業の許可業者数は概ね横ばいで推移、平成28年3月末は83,754社(前年比0.6%減)となった。(平成28年11月改訂/日本マルチメディア・エクイップメント㈱・高田守康  http://www.jmenet.com

5899.jpg業界動向

許可業者数の推移

管工事業

許可業者数

対前年伸び率

建設業全業種

対前年伸び率

平成26年度

83,890

0.3%

1.0%

平成27年度

84,260

0.4%

1.5%

平成28年度

83,754

▲0.6%

0.6%

資料:国土交通省『建設業許可業者数調査の結果について-建設業許可業者の現況(平成28年3月末現在)-』

 ガス事業法は、ガス工事はガス会社が施工すると定めているが、実際の工事はガス会社の指定を受けたガス工事業者が担当している。またガス工事会社の建設業許可業種としては、「管工事」が該当する。

 工事施工は、ガス会社から主要材料が支給され、厳格な指導監督と検収を受ける。労働集約型業種で、深夜作業等労働条件も厳しいため、人手不足対策と労務管理が重要。工事費見積はガス会社の規定によるので、この基準内でいかに低コストに抑えるかが採算向上のポイント。

 ガス管の老朽化が進んでおり、今後更新工事が大幅に増える可能性があり、好材料といえる。

5906.jpg業態研究

業種別就業者数

管工事業

建設業

就業者数

従業者数

常雇等

臨時・日雇

労務外注

労働者数

平成26年度

180,069

162,204

157,800

4,404

17,864

構成比

6.3%

6.2%

6.3%

3.8%

7.5%

前年度比

▲8.2%

▲9.8%

▲9.6%

▲15.0%

9.2%

資料:国土交通省『建設工事施工統計調査報告』(平成26年度実績)

■ 経営形態

 ガス会社の系列企業と一般企業とがある。都市ガスの発展とともに、大手は従業員1,000名以上の規模もあるが、一般には従業員規模100名以内である。ガス会社が指定する主要企業は、従業員300名程度である。

■ 営業の特色

 ガス工事は、ガス事業法により、ガス事業者(ガス会社)が行うことになっているが、実際の工事はガス工事業者が担当している。ガス工事業者は、ガス会社から業者指定を受け、ガス会社との工事請負契約に基づいて工事を行うシステムとなっている。

■ 工事費・日程など

 工事費見積は、ガス会社の見積規定によって行われ、点数制になっている。このほかに、ガス会社は、ガス需要家から受け取る工事代金にスライドして、ガス工事業者に工事費を支払うこともある。工事には、ガス会社の指導監督を必要とする。工事完成時点での工事検収も、ガス会社から受ける。工事日程は、需要家の要望に基づいて、ガス会社によって組まれる。

■ 需要

 家庭用、商業用は減少傾向にあるが、工業用は工業設備の稼動増加などにより工業需要は高まっている。しかし人手不足、しかも単純労働作業者の絶対的不足により、工事量をいたずらに増やすことはできない。

■ 具体的作業

 作業は、小グループ単位で行われるので、この労務管理が難しい。よきリーダーの有無が作業能率を決定するといってもよい。夜間作業となることも多い。この場合、人件費は深夜割増となるので、人件費ウエイトは一般企業よりも高い。

5890.jpg流通・資金経路図

k_671.gif

5915.jpg営業推進のポイント

■ 売上の見方

1国土交通省『建設工事施工統計調査報告』(平成26年度実績)(平成28年3月公表)(管工事業)によれば、次のとおり。

(1)工事高 (単位:百万円)

 

平成25年度

平成26年度

完成
工事高

元請完成
工事高

下請完成
工事高

完成
工事高

元請完成
工事高

下請完成
工事高

金額

4,667,518

1,893,083

2,774,435

4,829,267

1,837,721

2,991,547

元請

比率

40.6%

38.1%

前年

度比

4.6%

6.9%

3.1%

3.5%

▲2.9%

7.8%

(2)付加価値 (単位:百万円)

 

労務費

人件費

租税公課

営業損益

平成25年度

金額

1,008,184

182,678

692,100

21,375

112,031

前年

度比

0.0%

▲10.1%

6.4%

▲70.9%

39.3%

平成26年度

金額

1,030,153

163,884

702,589

20,647

143,032

前年度比

2.2%

▲10.3%

1.5%

▲3.4%

27.7%

資料:国土交通省『建設工事施工統計調査報告』(平成26年度実績)

2帝国データバンク『第58版全国企業財務諸表分析統計』平成26年度・平成27年11月発行(管工事業)によれば、売上に関する主な指標は次のとおりである。

   1人当たり売上高  32,583千円

   売上高増加率  11.43%

■ 採算の見方

 前掲『第58版全国企業財務諸表分析統計』によれば、採算に関する主な指標は次のとおりである。

   総資本経常利益率  4.70%

   売上高総利益率  27.45%

   売上高営業利益率  1.99%

   売上高損益分岐点倍率  1.09倍

■ その他の着眼点

 前掲『第58版全国企業財務諸表分析統計』によれば、効率性・安定性に関する主な指標は次のとおりである。

   総資本回転期間  8.28月

   固定資産回転期間  3.00月

   自己資本比率  19.55%

   流動比率  245.17%

■ 経営改善・指導のポイント

1. 技術力の強化

 ガス工事の内容は、年々、高度の技術を要求されつつある。今後は、自社の得意分野の技術力を強化することが重要になってくるものと考えられる。

2. 収益力の強化

 受注工事の採算改善が期待できないため、以下のような合理化策が重要となる。ⅰ)工事の効率化による工期の短縮と資材の削減、ⅱ)施工の機械化・省人化、ⅲ)コンピュータの導入による設計・事務部門の効率化。

3. 新分野進出

 市場規模の大幅な伸張が望めない中、農業・林業、環境関連事業、健康・介護福祉、等の事業分野への進出も検討する必要がある。

■ 取引深耕のためのチェックポイント

1ガス会社における当該企業の位置づけはどうか。

2主な発注元はガス会社、大手上位業者、建設業者、個人、あるいはこれらの複合なのかをチェック。発注元の力(受注、資金収益力等)と密着度合、その裏付け等をみる。また最近では業者間での再編の動きが急であるが、その流れにうまく乗れているか。

3工事日程および稼働人員はどうか。

4売上高に占める人件費の割合はどうか。

5労務管理の状態はどうか。

6経営者が現場管理型であることが多いが、この点はどうか。

7将来の受注作業の質の転換を予測し、その対応策を立てているか。

5923.jpg融資判断のポイント

■ 〈審査のポイント〉

 経営はドンブリ勘定型から脱し、計数感覚は十分か。業容拡大を目指す場合、エネルギー供給の多様化に伴い高度な技術が求められるようになっている。技術力は十分か、技術者は充実しているか、技術修得への不断の努力を行い、成果は認められるか、をチェック。地域密着で保安、修理、簡易工事等、低コスト経営で持ち場を確立しているのかも着眼点。

■ 所要資金

 一般に前受金を受けて工事に着手し、完成時のトラブルや発注先の資金悪化がなければ即回収される資金繰形態である。理論上仕事が回っている限り、資金は余裕があるはずである。申込にあたってはその要因をシビアに検証すべきである。

1.工事立替資金

 工事代金が、通常、手付・中間・完成後に回収されるのに対して、工事費の支払が先行することによる資金である。さらに、ⅰ)施主の資金繰や設計変更などで受取が遅延した場合、ⅱ)出来高査定が低く押さえられた場合、ⅲ)受注拡大のため、回収条件の悪化を許容した場合、などで立替資金が膨張する。

2.機材・事務所などの設備投資

 設備投資としては、機材、車両、資材倉庫、事務所、等があるが、設備をリースに依存する傾向にあることから、一般的に縮小傾向にある。

3.不動産や有価証券等の投資資金

 最近は少なくなったが、工事を手掛けた物件を買い取ったり、取引上の株の持合い等の投資資金が発生しやすい。これらは、含み損を抱えた不良資産となることがある。

■ 財務内容を見るポイント

1.未成工事比率の低下

 業界特有の財務指標として、未成工事比率(=未成工事受入金÷未成工事支出金×100)がある。これは、仕掛工事に要した費用(未成工事支出金)を、前受金(未成工事受入金)でどれだけ賄っているかを示している。この比率を時系列で並べて年々低下している場合は、受注工事の回収条件や採算が悪化している可能性があるため、注意が必要である。

2.完成工事未収入金の増加

 完成工事未収入金とは、いわゆる「売掛金」をいい、このうち1年以上回収されないものを「滞留完成工事未収入金」という。この金額が膨らみ、回収難となった金額が増加すれば、いずれ資金面で支障をきたすことになる。よって、回転期間を計算し、時系列で見て長期化している場合は、相手先に問題はないか、確認しておくべきである。特に滞留完成工事未収入金については、明細を十分調べておく必要がある。

3.売上計上基準の変更

 売上計上基準の変更により、工事進行基準が適用されると、進行中の工事も売上高に計上されるため、売上高が増加することになる。このため、決算書の売上高を見る場合は、必ず計上基準を聴取し、仮に売上高が増加していても、計上基準の変更によるものでないか、確認すべきである。

4.粉飾の留意点

 (1)工事完成基準において、工事が未完成であるにもかかわらず、期末に完成したものとして売上高を計上したり、工事進行基準において、実際の工事の進行より早く完成工事高を計上することで、売上高を多く計上することがある。 

 その場合、完成工事未収入金の回転期間が長期化することになるため、注意する必要がある。

 (2)反対に、工事完成基準において、赤字工事などの場合、工事が完了しているにもかかわらず、期末では未完成として、完成工事高に計上しないこともある。その場合、赤字工事の原価を未成工事支出金のまま残すことで、赤字を先送りしていることになる。よって、未成工事支出金の回転期間が長期化している場合も、注意が必要である。

■ 〈制度融資ガイド〉

 地域建設業経営強化融資制度(一財)建設業振興基金)

 小規模事業者経営改善資金融資制度(日本政策金融公庫)

 設備近代化資金貸付(各都道府県)

主な経営指標

調査年

項目

平成24年度

平成25年度

平成26年度

収益性

総資本経常利益率

1.73%

2.69%

4.70%

売上高総利益率(粗利益率)

26.42%

26.64%

27.45%

売上高経常利益率

0.91%

1.34%

2.50%

売上高営業利益率

0.40%

0.78%

1.99%

売上高金利負担率

0.66%

0.61%

0.56%

効率性

総資本回転率

2.00回

2.01回

2.03回

売上債権回転期間

1.68月

1.67月

1.61月

棚卸資産回転期間

0.88月

0.85月

0.83月

買入債務回転期間

1.09月

1.07月

1.04月

安定性・流動性

自己資本比率

16.38%

17.88%

19.55%

流動比率

252.12%

254.44%

245.17%

固定長期適合率

50.77%

50.13%

49.66%

成長性・生産性

売上高増加率

8.98%

6.36%

11.43%

経常利益増加率

68.11%

77.72%

132.03%

1人当たり売上高

29,794千円

30,474千円

32,583千円

採算性

売上高損益分岐点倍率

1.04倍

1.06倍

1.09倍

集計企業数

7,444社

7,169社

7,434社

料:帝国データバンク『全国企業財務諸表分析統計(第56〜58版(平成25〜27年発行))』(管工事業)