サービス業
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エステティックサロン

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このシグナルは、現状から今後6ヵ月間の見通しを短評。

エステティックサービスを提供している事業所は、中小零細・個人経営のエステティック専門店と、他事業との連携で収益を上げる大手企業とに大別され、その格差は広がっている。他事業連携は、美容・理容所、スポーツジム、スパ、健康ランド、ホテル、化粧品店等広範にわたっており、直近では大手チェーンの統合など業界再編の動きも目立つ。アンチエイジングや男性の関心の高まりなど好材料もあるが、利用者数は頭打ちの状況となっており、加えて平成28年に発生した特定商取引法違反による業務停止が、この業界へ向けられる目の厳しさを象徴している。労働環境の問題も以前からクローズアップされており、人手不足が顕著となるなか、エステティシャンを確保するための労務環境改善が喫緊の課題である。(平成29年7月改訂/中小企業診断士・加藤敦子  http://www.altopartner.co.jp

5857.jpg業界動向

エステティックサロンの店舗数および1店舗当たり売上高推移

 

平成17年度

平成18年度

平成19年度(推計)

店舗数

9,477店

9,826店

9,871店

1店舗あたり売上高(千円)

42,266千円

40,478千円

40,144千円

資料:中小企業基盤整備機構『サービス産業業種別実態調査(平成21年3月公表より作成

1エステティックのサービスメニューとしては、フェイシャルケア、ボディケア、痩身、ブライダルエステ、ワックス脱毛などがある。近年脱毛専門の低価格サロンが急速に事業を拡大した。

2市場規模は平成17年度まで順調に拡大してきたが、その後、縮小している。その要因としては、「低価格で簡易なサービスの参入増加」「競争激化に伴う料金の低価格化」などがある。このような競争激化の背景には店舗数の増加があり、1店舗当たりの売上高も減少してきた。

エステティックサロンの参加・消費の実態

 

参加人口
(万人)

参加率
(%)

年間平均活動回数
(回)

年間平均費用
(千円)

一回当たり費用
(円)

参加希望率(%)

平成25年

580

5.7

8.3

43.7

5,270

13.2

平成26年

710

7.0

8.6

47.5

5,530

17.0

平成27年

530

5.3

8.3

58.0

6,990

12.2

資料:(公財)日本生産性本部『レジャー白書2016』平成28年8月発行(エステティック、ホームエス)

3エステティックサービスを提供している事業所の3分の1が法人経営、3分の2が個人経営である。法人経営の事業所はほとんどが多店舗展開をしており、1店舗のみの営業は1割程度と少ない。逆に、個人経営のほとんどは1店舗のみでの営業である。

4女性の美容やアンチエイジングへの関心の高まり、メンズ市場の拡大で、平成26年には持ち直しの兆しを見せていたが、その後の経済、消費の伸び悩みで、利用者数は低迷している。女性の利用客は、従来の20代中心から10代〜シニア層へと広がっている。

5内閣府消費者委員会の平成23年12月の報告によると、エステティックサービスにおける危害情報件数は、平成20年度は520件であったものが、平成22年には595件となっている。また、同報告では、医療法および不当景品法に抵触する広告についても指摘している。消費者との信頼関係の構築およびコンプライアンスを徹底することが求められている。

5867.jpg業態研究

■ サービス

エステティシャンの主要技術は、フェイシャル(美顔マッサージ)、ボディトリートメント(マッサージ、リラクゼーション)、脱毛の3つのカテゴリーである。化粧品の改良、機器の開発などの進歩はあるものの、手技についてはほぼ確立している。効果については薬事法上の規制はあるものの、業界団体としてデータを収集し技術力を認識させたいとしている。

 フェイシャルについては、マッサージ技術だけでなくマッサージに使用する化粧品の販売を行っているケースもある。

 エステサロンの主要なサービスメニューとなっている痩身(ダイエット)は、各サロン独自のメニュー開発によるものとなっており、食事指導、生活改善とボディトリートメントが組み合わされているものが多い。

技術に対する認定制度がもうけられている。法的に有効なものではないが、業界では一定の基準となっている。認定を実施する団体として、(一社)日本エステティック業協会および、(一社)日本エステティック協会がある。どちらの資格の認知度も高く、業界での支持はほぼ同等である。

(1)(一社)日本エステティック業協会の認定

◆AEA認定インターナショナルエステティシャン熟練された技術と最先端の知識を持った者に与えられ、日本にとどまらず世界に通用することを目指すエステティシャン

◆AEA上級認定エステティシャンフェイシャルとボディの総合的な技術と知識を兼ね備えたエステティシャン

◆AEA認定エステティシャン基本的な技術と知識を持ったエステティシャン

(2)(一社)日本エステティック協会の認定

◆認定トータルエステティックアドバイザー(TEA)社会的、指導的立場を担うエステティシャン

◆認定エステティシャン業界の中核を担うエステティシャン

◆認定フェイシャルエステティシャン…フェイシャルの基礎技術を有するエステティシャン

■ 店舗立地

 個人を主要なターゲットとするため交通の要所や駅前立地が多く、大手業者は駅ターミナルビル、デパートなど大都市圏の中心に出店している。一方、零細業者はマンションの1室など小規模な店が多い。近年では、ショッピングモール内への出店も見受けられる。

■ 設備内容

 都市郊外の駅前賃貸ビルに開業した中規模サロンのケースでは、投資総額を100とすると、保証金25%、内装費45%、器具15%、開業費15%程度が平均的である。使用器具は美顔用ベッド、マッサージ器、紫外線イオン化スチームなど施術の内容により異なり、導入点数・費用も変わる。

■ 営業時間帯

 立地により多少の差異はあるが、午前10時から午後8時まで、都市部では午前11時から午後9時までが一般的である。さらに都心部では、会社帰りのOLをターゲットに午後10時まで営業する店も多い。

■ 利用料金

一般的な料金体系と施術時間(全国平均)

営業種目名

平均価格

平均施術時間

フェイシャル最低料金

4,891円

52分

フェイシャル最高料金

12,826円

90分

ボディ最低料金

6,634円

50分

ボディ最高料金

17,915円

96分

痩身最低料金

7,835円

54分

痩身最高料金

18,186円

99分

(公財)日本エステティック研究財団資料より

■ 施設数

 業界筋の推定では、全国に約2万5,000店あるといわれているが、なお、日本エステティック業協会加盟の会員社数は155社、加盟サロン数は1,143店(平成29年6月現在)。

■ 参入企業

 美・理容室との兼業が半分ぐらいを占め、残りが専門サロンである。大半の企業が中小企業または個人営業に近い形態であり、価格競争が激化している。また、近年では、フィットネスクラブやホテル、医療機関による異業種からの参入も見受けられる。

5848.jpg流通・資金経路図

k_553.gif

5875.jpg営業推進のポイント

■ 売上の見方

 業界専門誌による平均的サロンの概要は次のとおりである。

(1)専門サロン…客単価12千円/日・人、平均来店客数400人/月、月商4,800千円程度、店頭での化粧品販売30%、従業員数5〜9人、店舗面積50坪、ベッド数7台。

(2)美・理容との併設店…客単価16千円/日・人、平均来店客数90人前後、月商1,400千円程度、店頭商品販売20%、技術者3名、店舗面積12坪、ベッド数3台。

■ 採算の見方

 経費比率…売上高に占める経費の割合は、人件費30%と広告宣伝費15%で約45%、材料費と減価償却費が各10%、家賃と金利などで20%、計75%に収めることが採算基準とみられる。

■ 取引深耕のためのチェックポイント

1経営者の考え方…利用者とのトラブルが多発している業界であり経営者の取組み姿勢が大きなポイントとなる。過去に利用者とトラブルを起こしていないか、自己の利益のみを追求していないを確認する。

2顧客数…小規模であればあるほど、経営者(主たるエステティシャン)の技術力および人柄に対し、顧客からの支持があるかどうかが重要な判断材料となる。顧客のデータベースがあり固定客が確保されているかどうか。データは精査、更新されており、適切な販売促進が行われているかどうかなどをチェックする。

3サロンの信用度…業界の有力団体に加盟していることが信用を測るひとつの目安となる。

4トラブル防止策…万一トラブルが発生した場合の内部体制が重要である。特に身体上のトラブルに対しては医療機関との連携も必要となる。

5人材の育成…技術者のレベルアップのため研修(職場研修、業界団体主催の講習会参加が制度化しているなど、人材教育への取組み姿勢が重要である。

6その他…料金システム体系の店頭表示、クーリングオフ制度の徹底、中途解約への対応、未成年との契約(親の同意が必要)、クレジット利用者への対応(多重債務防止)などについても検証したい。

7財務面…一括前払制を採用している業者のなかには、前受金を流用するケースがみられるので注意を要する。

8管理体制…多店舗展開を進めている企業では、特にコンピュータによる一元管理体制(売上、収益、顧客、人事など)が整っていることが重要なポイントである。

■ 事業計画例

地方主要都市で駅前の賃貸ビルに

開業したケース

期間損益黒字転化

2年目

累積   〃   

3年目

面積

70 坪

エステティシャン

10人

従業員

約12 名

月間営業日数

25日

家賃

13千円/坪

平均来店客

30人/日

保証金

400 〃 /坪

平均客単価

15千円

敷金

40 〃 /坪

 

内装費

1,300 〃 /坪

年間収入

135,000千円

器具

15,000〃

 

開業費

35,000〃

材料費

15,000千円

 

人件費

35,000〃

投資総額

177,000千円

家賃

12,000〃

 

広告宣伝費

20,000〃

 

減価償却費

15,000〃

 

借入利息

10,000〃

 

その他

8,000〃

 

経費計

115,000〃

5883.jpg融資判断のポイント

■ 事業性評価のポイント

 エステティシャンの技術力、接客技術、販売促進力などが鍵となる。競合となるサロンがある場合は、差別化できるサービスメニュー、技術が求められる。

 競争が激化するなか、男性向けエステティックサービス市場や高齢社会の到来による中高年層向け市場は拡大の余地を残しているが、独自に新サービスを開発し顧客を開拓するためには、ある程度の事業規模が必要である。

 エステティック業界の問題点に、専門的技術を持たない者による施術による人体への影響や、契約・解約に関するトラブルが多発していることがあげられる。エステティシャンと顧客の技術面や人間性の信頼関係から継続的な来店が期待されるものであるので、社員(エステティシャン)の技術向上のための資格取得や接客に対する教育、指導が不可欠である。この点に事業者の特別な注力がなされているかのチェックも欠かせない。

■ 運転資金

1運転資金需要はほとんど発生しないが、開業に伴う広告宣伝費や人材育成費用、決算賞与資金などが見込まれる。

2特に料金の前払制をとっている場合には、資金的に余裕があるはずなので、流用には注意を要する。

■ 設備資金

1出店時の設備資金が主体となる。サロン出店の適地は前述のとおり繁華街など人通りの多い場所が選定されるため入居保証金や敷金がかさむほか、集客のためサロンを豪華にする費用も少なくない。

2また全国展開している場合には、収益・顧客管理などのためのコンピュータ投資も膨らんでいる。いずれにしても、開業後の収支は、期間損益で黒字になるのが2年目から、累積赤字の解消が3年目から、借入完済は5〜6年目が目途となる。

■ 保全面

1設備資金融資に対する保全は、入居保証金や敷金に質権設定する方法が一般的である。

2業界特有の保全対策は見あたらない。

■ 〈制度融資ガイド〉

 日本政策金融公庫融資

主な経営指標

調査年

項目

平成25年度

平成26年度

平成27年度

収益性

総資本経常利益率

5.09%

4.39%

3.97%

売上高総利益率(粗利益率)

77.35%

78.17%

80.02%

売上高経常利益率

3.02%

2.71%

2.15%

売上高営業利益率

2.28%

2.16%

0.41%

売上高金利負担率

0.51%

0.51%

0.49%

効率性

総資本回転率

1.74回

1.90回

1.72回

売上債権回転期間

0.71月

0.70月

0.73月

棚卸資産回転期間

0.34月

0.32月

0.29月

買入債務回転期間

0.16月

0.13月

0.15月

安定性・流動性

自己資本比率

15.41%

18.71%

16.25%

流動比率

213.66%

181.68%

205.38%

固定長期適合率

90.90%

94.10%

94.42%

成長性・生産性

売上高増加率

12.27%

11.03%

4.73%

経常利益増加率

45.36%

119.76%

57.46%

1人当たり売上高

24,598千円

17,707千円

14,807千円

採算性

売上高損益分岐点倍率

1.05倍

1.04倍

1.04倍

集計企業数

105社

111社

111社

料:帝国データバンク『全国企業財務諸表分析統計(第57〜59版(平成26〜28年発行))』(理容業、美容業)