サービス業
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カラオケルーム

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このシグナルは、現状から今後6ヵ月間の見通しを短評。

日本生産性本部『レジャー白書2016』(平成28年8月発行)によると、カラオケルームの平成27年の市場規模は前年比0.5%増の4,000億円、参加人口は同7.1%減の3,160万人、年間平均費用は同4.8%増の11,000円となっている。スマートフォンの普及によりレジャーが多様化していること、職場単位での飲み会需要が低下していることなどが、カラオケルームにとっての脅威となっている。一人カラオケ、仮眠の場、資料の作成や電話での打ち合わせといったビジネスユース、高齢者の利用、女子会の開催など多様化する顧客ニーズへの対応や、他の飲食店との連携による2次会需要の取り込みといった販売促進策がポイントとなるであろう。(平成29年7月改訂/中小企業診断士・三上康一  https://www.triple-up.net/

5721.jpg業界動向

 

市場規模

参加人口

年間平均費用

平成25年

3,960億円

3,360万人

10,000円

平成26年

3,980億円

3,400万人

10,500円

平成27年

4,000億円

3,160万人

11,000円

資料:(財)日本生産性本部『レジャー白書2016』平成28年8月発行(カラオケルーム)

 

事業所数

従業員数

平成21年

7,044

66,730人

平成24年

3,299

33,124人

平成26年

6,821

62,903人

資料:総務省『経済センサス-基礎調査』平成28年2月公表(カラオケボックス業)、平成24年は総務省『経済センサス-活動調査』平成26年2月公表(カラオケボックス業)

 ※複数の出典からなる上記指標について、各調査項目の定義、調査時点の相違などから、厳密には両指標の数値と連結しない部分がある。数値の解釈に当たっては留意されたい。

1これまでカラオケ市場は縮小傾向にあったが、最近では景気回復を追い風に市場は下げ止まっている。ただし、市場規模はピークだった平成8年と比べると約3分の2まで縮小している。小規模店の淘汰が進み店舗数は減少しているが、大手チェーンによる大型店化は続いている。

2高齢者や一人での利用、昼間の利用が増えており、一人カラオケ専門店の出現や、飲食物の持ち込みを可能にするサービス、早朝から正午が割引になる価格設定など、業態・サービスは多様化している。

3また、歌うだけの従来型カラオケルームから脱却し、さまざまなニーズに応えることのできる空間への業態転換を模索している。例えば、提供する料理の質やカラオケルームの内装、ディスプレイ映像の趣向を凝らすといった方向性である。最近は、取引先と電話で打ち合わせをしたり、資料を作成したりするなど、ビジネスの場として使用する顧客や、昼寝の場として使用する顧客も存在しており、今後のカラオケ店のあり方に影響を与えそうである。

4当業界では人気アーティストのライブ映像とサウンドが楽しめる通信機器や、人気アーティスト本人の映像に合わせて本人の歌声を聴きながら一緒に歌うことのできる通信機器などが増えている。通信機器にこだわりを持つ層をターゲットとして、客の入店時に“おすすめ”の通信機器別に部屋の案内をする店舗も増加してきており、単に歌うだけでない“楽しさ”も求められている。また、カラオケの曲に合わせてバンドが即興で生演奏を付けるというサービスもある。

5731.jpg業態研究

■ 立地

 大規模繁華街や、目立ちやすいロードサイドなどにカラオケルームが集中している場合、それぞれの店がシズル効果(香りや音など、五感の刺激によって購買行動に結び付ける効果)によって顧客を引き寄せることができる。

 出店する場合の立地条件は、出店規模によりさまざまであるが、留意すべき点としては、次のようなことが挙げられる。

 (1)大型カラオケハウス:大型レジャー施設の周辺、駐車場スペースを広くとれるところ、ロードサイドなど

 (2)中型ルーム:飲食街、大規模繁華街、広域商店街など

 (3)小型ルーム(ボックスタイプ):駅の周辺、学生が多く集まるところなど

 以上のほかにも、周囲の環境をよく調査すべきである。

■ 店舗条件

 立地とその規模において店舗には種々の形態がある。いずれも清潔感と明るさ、健全さを兼ね備えた店舗イメージを作り上げることが肝要である。また、顧客が快適に使用できる室内構造、従業員が働きやすい環境、顧客を引き寄せる看板作りなども重要である。

■ 流通経路

 業務用カラオケ市場は、ハード、ソフトの両面とも、ほとんどが「全国卸商社」を経由して流通される。全国卸商社から各地域のオペレーターにハード、ソフトが流通するしくみになっている。オペレーターは、全国に約2,000社あり、営業エリア内の酒場やカラオケルームにカラオケ機器やワイヤレスマイク、モニター等の周辺機器を販売している。

5710.jpg流通・資金経路図

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5777.jpg営業推進のポイント

■ 売上の見方

1帝国データバンク『第59版全国企業財務諸表分析統計』平成27年度・平成28年11月発行(その他の娯楽業)によれば、売上に関する主な指標は次のとおりである。

   1人当たり売上高  58,139千円

   売上高増加率  2.99%

2カラオケルームの売上高は、一般にルーム使用料とカラオケ使用料によるものであり、飲食代がそれに加算される。ある大手では、カラオケルームを新しい飲食空間と位置づけている。

3利用客の多い日時はいつか、1日当りの利用客は何人か、男女別・年齢別の時間帯別利用実績はどうか、などを参考に売上を推計するとよい。

4客単価の動向は、近年特に低価格傾向化している。カラオケ利用料金の改定は難しいことと、時間帯・曜日・季節による利用客の偏りがあることから、売上に占める飲食・酒類の割合を大きくすることがポイントとなる。

5(一社)全国カラオケ事業者協会の調査によると、カラオケボックス1ルーム当りの月間売上高(飲食代、室料、サービス料を含む)は、約25万円と推計されている。

■ 採算の見方

 前掲『第59版全国企業財務諸表分析統計』によれば、採算に関する主な指標は次のとおりである。

   総資本経常利益率  2.52%

   売上高総利益率  54.63%

   売上高営業利益率  1.63%

   売上高損益分岐点倍率  1.07倍

■ その他の着眼点

 前掲『第59版全国企業財務諸表分析統計』によれば、効率性・安定性に関する主な指標は次のとおりである。

   総資本回転期間  9.96月

   固定資産回転期間  6.52月

   自己資本比率  21.50%

   流動比率  195.68%

■ 取引深耕のためのチェックポイント

1比較的、新業界であるがゆえに、経営者の考え方がしっかりしているかどうか。

2若年層/中高年層など、ターゲットが明確になっているか。

3カラオケ機器は最新のものが使用されているか。

4カラオケ機器は買取りか否か。リースであれば何年契約か。

5周囲の競争状態はどうか。

6集客努力を行っているか。

7経営者が新しい機器に対する知識や業界動向を把握しているか。

5770.jpg融資判断のポイント

■ 事業性評価のポイント

 当業界は競争が激化しており、当面この傾向は続くものと見込まれる。新たな顧客の開拓努力やリピーター客の増加努力がなされているかどうか、こうした努力が経営安定化に欠かせない。

■ 運転資金

1飲食代は、通常、現金またはクレジットカードのため運転資金の需要はほとんどない。ただし、開店○周年などの特別イベントを開催する場合は、運転資金需要が生じることもある。運転資金の返済期間は、6〜10カ月程度が望ましい。

2原則、現金回収が基本であるが、商売柄、現金売りだけでは売上が伸びず、一部常連客などではツケ払いが常態化しているケースもあり、また時効も1年と短いため、こうした掛売りの回収状況を把握しておくことも重要になる。

■ 設備資金

 カラオケ器材などのハード面は製品のライフサイクルが短い傾向もあって、リースを利用しているケースがほとんどである。

 したがって、設備資金としては、新規開業や店舗改装などが中心となるが、業種柄、公的な制度融資等は利用が難しいため、事業計画や資金計画等に一層の注意を払う必要がある。

■ 返済原資

 〔返済原資=税引後予想利益+減価償却費(個人経営の場合は、マイナス経営者の生活費)〕として、投資額の回収が可能かどうかをみる。

■ 〈制度融資ガイド〉

 セーフティネット保証、小規模企業設備資金貸付制度、企業活力強化資金(日本政策金融公庫)

主な経営指標

調査年

項目

平成25年度

平成26年度

平成27年度

収益性

総資本経常利益率

5.67%

3.19%

2.52%

売上高総利益率(粗利益率)

61.08%

63.01%

54.63%

売上高経常利益率

4.81%

3.40%

1.90%

売上高営業利益率

3.37%

3.07%

1.63%

売上高金利負担率

0.73%

0.78%

0.73%

効率性

総資本回転率

1.44回

1.58回

1.66回

売上債権回転期間

0.46月

0.44月

0.32月

棚卸資産回転期間

0.23月

0.35月

0.35月

買入債務回転期間

0.30月

0.29月

0.29月

安定性・流動性

自己資本比率

34.46%

22.79%

21.50%

流動比率

245.21%

280.59%

195.68%

固定長期適合率

82.31%

72.39%

91.88%

成長性・生産性

売上高増加率

10.77%

5.71%

2.99%

経常利益増加率

▲7.26%

▲4.52%

15.00%

1人当たり売上高

47,021千円

46,283千円

58,139千円

採算性

売上高損益分岐点倍率

1.09倍

1.07倍

1.07倍

集計企業数

55社

47社

39社

資料:帝国データバンク『全国企業財務諸表分析統計(第57〜59版(平成26〜28年発行))』(その他の娯楽業)