景気予測お天気マーク
このシグナルは、現状から今後6ヵ月間の見通しを短評。
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年間商品販売額 |
事業所数 |
従業者数 |
2012年 |
823,615百万円 |
20,986 |
87,786人 |
2014年 |
861,366百万円 |
19,443 |
89,235人 |
2016年 |
970,860百万円 |
18,397 |
84,882人 |
資料:総務省『経済センサス-活動調査』2018年3月公表(野菜・果実小売業)
1.農林水産省『令和3年青果物卸売市場調査報告』によると、2021年の野菜の卸売数量は927万トンと前年比1%減である。これは、たまねぎ、ばれいしょ等の入荷量が減少したことによる。卸売価格は1兆9,608億円と前年比4%減となっており、これは、キャベツ、きゅうり等の卸売価格が下がったことによる。
2.野菜類を小売する路面店には野菜専門店と青果物店があるが、全体の60%近くが果物を併売する青果物店である。
3.青果物はスーパーや生協、コンビニ、百貨店などでも販売しており、競合が激しい。そのうえ、後継者不足の問題もあるため、2016年の青果物店の数は過去9年間で23.2%減少した(総務省『経済センサス-活動調査』2018年3月公表(野菜・果実小売業))。スーパーとの競争は今後も続くことから、地元住民にこだわりの野菜をいかにPRしていけるかが鍵となる。
4.青果物の生産者が直接販売する「直販所」が安全、鮮度の訴求で消費者の支持を受けるようになり、街中の青果物店の新たな競合先となりつつある。
5.業務用販売のウエイトが大きくなっている青果店が増加している。新型コロナ禍で、外食等が大幅に減少しているため、大幅増加している家庭内調理向け販売にも力を入れる必要がある。
6.2022年2月からのロシアによるウクライナ侵攻による石油価格の高騰など、相次ぐ原材料の高騰は青果物の価格にも波及している。動向には注意が必要である。
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2019年 |
2020年 |
2021年 |
生鮮野菜 |
67,901 |
74,996 |
71,138 |
葉茎菜 |
20,749 |
23,090 |
21,529 |
根菜 |
16,978 |
19,139 |
18,584 |
他の野菜 |
30,175 |
32,767 |
31,024 |
資料:総務省『家計調査年報(1世帯当たりの品目別支出金額(二人以上の世帯))』2022年2月公表
1.顧客の中心は主婦層である。典型的な最寄り品であるため、駅前、商店街、マンション近くの人口密集地域の立地が望ましい。また、販売地域は、消費者が毎日歩いて買物に出かけられる店舗を中心として300m〜500mが商圏と考えられる。
2.立地条件の良いところでは、同業者やスーパー、コンビニエンスストアなどとの競合が激しいため、鮮度・品揃え・価格といった基本的な販売要素のほかに、対面販売方式の利点を活かした顧客ニーズに合わせた商品の選定や、料理法の情報提供など、総合店にはないサービスで差別化を図ることが不可欠である。
3.青果物店の顧客は徒歩来店の高齢者が中心となっている。商品が重いので配達サービスも欠かせない条件となってきた。
4.商店街に集客力がない地域では、通販・ネット販売等、店頭売り以外にも活路を見い出すことが不可欠となる。
1.経済産業省『経済センサス-活動調査』(2018年3月公表)によると、2016年の野菜・果実小売業の1店舗平均面積は44.0㎡である。従業者規模についても、2人以下が51.4%、3〜4人が24.3%と4人以下で75.7%を占めている。店舗面積、従業者数いずれの点からも経営規模は小さい。
2.生産地のすぐ脇の現地販売所、無人自動販売所などで販売するところも増えており、店舗面積はわずかに小さくなっている。
経営形態・立地条件により、野菜・果物の構成割合はさまざまであるが、関連商品も取揃えの幅を広げている店舗も多い。小型店でニーズやコストに見合った発注をこなし、適切な品揃えを実現するには相当な経験が欠かせないと考えられる。
1.青果物の流通形態は、大別して卸売市場経由の流通と、生産者が直接生産物を消費者に販売する形態などの卸売市場外流通の2つに分類できる。前者は全体の約6割である。
2.卸売市場からの仕入は、買参人として競りなどにより仕入れる方法と、仲買人(仲卸業者)から仕入れる方法の2つの流通経路がある。両者とも買掛金決済は、通常5日前後の一括払で、現金払である。
3.最近では、通販・ネット販売などによる現地直送方式の流通経路ができあがっており、その数は増えている。
1.帝国データバンク『第64版全国企業財務諸表分析統計』2020年度・2021年11月発行(野菜・果実小売業)によれば、売上に関する主な指標は次のとおりである。
1人当たり売上高 53,122千円
売上高増加率 11.93%
2.商品単価が低いことから、関連購買の推進による客単価の向上や、高付加価値商品の取り込みによる、売上高の向上を図る。
3.素材販売のため、常に調理方法、メニュー提案に留意し、固定客獲得による安定的な売上を確保する。
4.きめ細かく季節性のある商品の品揃えに留意し、購買頻度の向上を図る。
1.前掲『第64版全国企業財務諸表分析統計』によれば、採算に関する主な指標は次のとおりである。
総資本経常利益率 3.19%
売上高総利益率 39.93%
売上高営業利益率 ▲3.40%
売上高損益分岐点倍率 1.04倍
2.鮮度管理、在庫管理には十分留意し、廃棄ロスの低減に努める。
1.青果物は毎日食卓に上がる生活必需品であり、鮮度が大切である。鮮度と品質を前面に打ち出す仕入、販売、店舗づくりをしているか。
2.活気のある呼込みと推奨販売や料理提案、関連購買の促進を行っているか。
3.売れ残り品の再利用、分割やパック包装による販売、電話注文による配達対応、移動販売、業務用販路の開拓、共同仕入などの対応を図っているか。
4.業務用販売のウエイトが高くなっている店は、売上は伸びていても収益性が悪化し、資金繰りに負担が掛かっているケースもあるので注意が必要。
5.長時間労働など労働条件の厳しさから、経営者の高齢化により世代交代の時期を迎えても、後継者難や人手不足が深刻化している。人材育成の計画や後継者がいるのかをチェックする必要がある。
6.好立地であっても競合する店舗が多い業界である。商圏内の人口、通行の流れ、競合店の有無とその内容などをチェックする必要がある。競合店の影響が強い場合は、どのような差別化を図っているかを確認する。
野菜の販売チャネルが増えたため、高い安全性を維持し需要の変化に対応できるよう差別化を図る必要がある。
1.売上は現金100%であるが、業務用で販売している場合は売掛金が生じる。
2.通常の市場取引であれば、特に増加運転資金は必要としないが、顧客ニーズの多様化、高度化により、総合食料品店やコンビニエンスストアへ業種転換する場合や、販売拡張のために在庫量を増やす場合は運転資金が必要となる。
3.業務用販売比重が大きく、売上高が伸びている店では資金回転が悪くなっている。運転資金需要が発生する可能性がある。
4.借入金が月商と比較して過大な場合、営業外への流出や設備資金の返済などが考えられるため、注意が必要である。
5.生業的色彩の強い零細店が多いため、店舗資金と家計がどんぶり勘定になって、資金が家計へ流出している可能性があるため、レジや預金入金状況、仕入状況から売上を把握する必要がある。
6.採算状況を確認し、返済可能な範囲での運転資金貸出を行う。
7.公共料金や税金支払の領収書チェックなどにより、経営者の支払面への考え方や支払面の実態を把握する。
1.業歴のある店舗については、老朽化している店も多く、スーパー、コンビニエンスストアなど競合先への対応を考え、店舗の改装や諸設備の更新が必要な場合、設備資金の需要となる。
2.店舗拡張のための設備資金については、市場調査資料などにより、投資規模の妥当性や将来の売上予測から、返済条件どおりの十分な返済原資が確保されているかを確認する。
3.担保として徴求する物件がない場合には、債権保全のため保証人を徴求する。保証人の資産内容、保証能力、債務者との関係をよく調べる。また人的保証に併せて信用保証協会の保証を徴求する場合もある。
調査年 項目 |
2018年度 |
2019年度 |
2020年度 |
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収益性 |
総資本経常利益率 |
1.52% |
2.85% |
3.19% |
売上高総利益率(粗利益率) |
34.20% |
37.85% |
39.93% |
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売上高経常利益率 |
▲0.72% |
▲0.24% |
0.03% |
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売上高営業利益率 |
▲2.14% |
▲1.07% |
▲3.40% |
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売上高金利負担率 |
0.23% |
0.17% |
0.20% |
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効率性 |
総資本回転率 |
2.78回 |
3.11回 |
2.49回 |
売上債権回転期間 |
0.74月 |
0.59月 |
0.68月 |
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棚卸資産回転期間 |
0.35月 |
0.29月 |
0.40月 |
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買入債務回転期間 |
0.48月 |
0.47月 |
0.43月 |
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安定性・流動性 |
自己資本比率 |
27.37% |
29.23% |
32.57% |
流動比率 |
280.41% |
283.35% |
318.44% |
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固定長期適合率 |
68.47% |
57.87% |
54.95% |
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成長性・生産性 |
売上高増加率 |
4.87% |
10.13% |
11.93% |
経常利益増加率 |
12.20% |
115.03% |
40.99% |
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1人当たり売上高 |
50,137千円 |
49,136千円 |
53,122千円 |
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採算性 |
売上高損益分岐点倍率 |
1.03倍 |
1.02倍 |
1.04倍 |
集計企業数 |
31社 |
33社 |
44社 |
資料:帝国データバンク『全国企業財務諸表分析統計(第62〜64版(2019〜2021年発行))』(野菜・果実小売業)