小売業
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豆腐小売店

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このシグナルは、現状から今後6ヵ月間の見通しを短評。

経済産業省『商業統計表・産業編』(平成27年12月公表)によると、豆腐・かまぼこ等加工食品小売業の平成26年の事業数は4,662所、従業員数は23,294人、年間商品販売額は266,369百万円となっている。量販店・スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの挟み撃ちにあって競争が厳しい状況である。原材料の高騰が続いたことで、廃業に追い込まれた企業が増えている。大規模工場でさえ、価格競争の激化と消費量の減少で厳しい経営を強いられており、キャラクター商品とのコラボなどで差別化を図っているのが現状である。(平成29年7月改訂/中小企業診断士・宮澤俊基  http://gennovation.co.jp

5903.jpg業界動向

 

年間商品出荷額

事業所数

従業員数

平成19年

282,012百万円

8,714

32,732人

平成24年

230,220百万円

5,393

22,141人

平成26年

266,369百万円

4,662

23,294人

資料:経済産業省『商業統計表・産業編』平成27年12月公表(豆腐・かまぼこ等加工食品小売業)、平成24年は総務省『経済センサス-活動調査』平成25年11月公表(豆腐・かまぼこ等加工食品小売業)

 ※複数の出典からなる上記指標について、各調査項目の定義、調査時点の相違などから、厳密には両指標の数値と連結しない部分がある。数値の解釈に当たっては留意されたい。

1全国の二人以上の世帯における豆腐類の年間消費量を総務省『家計調査年報』でみると、豆腐に対する1世帯当り消費金額は平成12年には7,484円であったが、以後は減少傾向で推移し、平成27年には5,662円と平成12年比で1,822円減少、率にして24.3%減となっている。豆腐はわが国の食文化において重要な位置を占めているうえに、その低カロリー・低脂肪および豊富な植物性タンパク質が国際的にも評価されているものの市場の拡大は望めない。

1世帯当り年間品目別支出金額及び購入金額 (単位:円)

 

大豆加工品計

豆腐

油揚げ・がんもどき

納豆

他の大豆類

平成25年

12,815

5,574

3,062

3,479

700

平成26年

12,830

5,569

3,114

3,417

731

平成27年

13,304

5,662

3,233

3,640

770

資料:総務省「家計調査年報」(平成28年2月公表)

2量販店での価格が低く、豆腐専門店は価格では勝負ができない。原料となる大豆に対して消費者の関心は高く、専門店ではこだわりの大豆やにがりを使用したり、手作りによる差別化を図ることが望まれる。

3業界では、豆腐の定義作りを行い、①大豆固形分10%以上を「とうふ」、②同8%以上を「調整とうふ」、③同6%以上を「加工とうふ」とし、品質に応じた製品表示を行うことで、不当な廉売を防ぎ、製造業者や原材料の供給元となる農家が適正な利益を得られるよう働きかけていく。

4さらなる問題は水である。井戸水はほとんど利用できないので水道水を利用するが、味にこだわるならば浄水が必要となる。

5個人経営の零細豆腐店は廃業が続いている。その一方で、味とアイデアで顧客ニーズを掴んだ中小メーカーは高価格でもファンを掴んでいる。最近ではリヤカーを利用する移動販売も定着している。また、飲食店との連携している例もある。

6和食に対する関心は強まっているものの、家族経営の企業も多く、対外的なPRには限りがある。しかし、そうした中でもBtoCからBtoBへ顧客を転換し出す事業者も出てきており、積極的な営業活動が今後も鍵となる。

5895.jpg業態研究

■ 取扱商品

 豆腐店で取り扱う商品は、豆腐類(木綿豆腐、絹ごし豆腐、充填豆腐など)、揚げ物類(油揚げ、生揚げ豆腐、がんもどき)、副産物(オカラ、ゆば)、その他(納豆、コンニャク、トコロテン、自家製惣菜等)に大別できる。

■ 経営規模

 豆腐業界は圧倒的に個人経営が多い。経済産業省『商業統計表・産業編』平成27年12月公表(豆腐・かまぼこ等加工食品小売業)によれば、平成26年の豆腐・かまぼこ等加工食品小売業の事業所は、従業員数の規模が4人以下の企業が80.6%と大半を占めている。また、売上規模が大きくなるほど関連食品との兼業が多くなっている。また、都市部の業者には、不動産収入に依存する経営者も非常に多くみられる。

■ 業態

 豆腐は保存、輸送上に難点があるため、「地域的食品」として発展してきたが、スーパーマーケットの進展を契機として一部に大型メーカーが出現し、店舗数減少のなかで製造面での二極化が明らかになってきた。それは、いわゆる「豆腐屋さん」(町店)と呼ばれ、家族労働力を中心とし、規模も相対的に小さい製造小売・製造卸小売タイプと、スーパーマーケットなど大型小売店との結合が強い大規模製造卸専業タイプである。首都圏ではリヤカーを利用した移動販売も定着している。

■ 競争状況

 豆腐業界をめぐる競争状況は、小売・卸売の各段階でますます激しいものになってきている。小売段階では、スーパーマーケットが低価格販売(廉売)によりシェアを拡大している。卸売段階では、鮮度要求にどこまで応えるかということと、多頻度少量流通に伴う製造・流通コストの上昇が問題となっている。また、豆腐専門店は製造と小売が直結した業態としたり、鮮度はもとより、原材料、製法での差別化が重要となる。

■ 原料大豆

 豆腐製造の主原料である大豆は、90%以上がアメリカ・中国などの外国産であるが、近年国産大豆の使用量とその割合が高まってきている。これは、水田転作により国内大豆の生産が増加していること、製品差別化戦略の一手段として、国産大豆を意識的に使うようになってきたことが影響している。安全性の観点からも消費者からは国産であり遺伝子組換えが行われていない大豆が求められている。

■ 経営課題

 豆腐市場は成熟化し、その量的拡大は困難な状況にある。こうした状況のもとで、多様化・高級化する消費に応えるべき高付加価値商品づくりと対面販売を中心とした顧客サービスなどの差別化戦略を取り得る経営づくりが急務の課題であるといえる。

 また、木綿や絹ごしという表現だけでなく「湯豆腐用」「炒り豆腐用」等、用途に合わせた豆腐を提案することも商品戦略として必要となる。飲食店への納入はPR効果も期待できる。

 なお、豆腐小売店は、食品衛生法、同施行令に基づく都道府県知事の定める基準、許可を必要とする。

5911.jpg流通・資金経路図

k_326.gif

5887.jpg営業推進のポイント

■ 売上の見方

1帝国データバンク『第59版全国企業財務諸表分析統計』平成27年度・平成28年11月発行(その他の飲食料品小売業)によれば、売上に関する主な指標は次のとおりである。

   1人当たり売上高  47,492千円

   売上高増加率  5.15%

2全国の事業所の平均でみると、販路はデパート、スーパーなどへの卸が45%、小売42%、大口需要家13%というデータがあるが、小規模事業者ほど小売の割合が高くなっている。卸売価格は小売販売価格の70〜80%が一般的である。

3豆腐の収量は、大豆1kgから13〜15丁程度といわれる。大豆の処理量と小売・卸売の比率が分かれば、およその売上はつかめる。

4夏場の冷奴、冬場の鍋物の具というように、売上に季節変動はほとんどない。

■ 取引深耕のためのチェックポイント

1立地条件として、競合する量販店の動きはどうか。

2労働条件の厳しい労働集約型の業種であり、労働力の確保は心配ないか。

3個人事業者が大半であるため、日常の経理処理が家計と混同することなく明確に行われているか。

4主力である豆腐類とその他の二次加工品の売上割合および小売と卸売の比率はそれぞれバランスがとれているか。

5卸先である飲食店や食料品店をバランスよく確保し、安定収入を確保しているか。

6原料である大豆の安定した仕入ルートを確保しているか。

7競合が激しいなかで、経営者が差別化戦略を取り得るような経営づくりをしているか。特に原材料や製法へのこだわりを持ち、大規模工場による製造との差別化がポイントとなる。

5880.jpg融資判断のポイント

■ 事業性評価のポイント

 立地条件の面では、競合する量販店の動きはどうかをチェック。むしろ量販店への販売ルートを確保するような取組みを検討すべき場合が多い。労働力の確保も重要な課題。個人事業者が大半であるため、日常の経理処理が家計と混同することなく明確に行われているか。主力である豆腐類とその他の二次加工品の売上割合および小売と卸売の比率はそれぞれバランスがとれているかも確認する。

■ 運転資金

1店売りは現金販売であり、掛売となる卸にしても1カ月以内に回収される場合が多い。

2仕入については、地域組合を通じての共同仕入と流通問屋からの個人仕入があるが、いずれも仕入サイトは短く1カ月以内である。

■ 設備資金

1設備資金需要は、店舗改装のほか設備の更新、省力化のためのものが大部分である。

2当業種の雇用難という現状からしても、今後、設備の更新・省力化のための投資意欲は衰退しないものと考えられる。

主な経営指標

調査年

項目

平成25年度

平成26年度

平成27年度

収益性

総資本経常利益率

3.18%

3.20%

4.28%

売上高総利益率(粗利益率)

46.97%

47.15%

49.30%

売上高経常利益率

1.48%

1.19%

1.38%

売上高営業利益率

1.11%

1.04%

1.08%

売上高金利負担率

0.47%

0.45%

0.44%

効率性

総資本回転率

2.77回

2.81回

2.77回

売上債権回転期間

0.75月

0.84月

0.78月

棚卸資産回転期間

0.45月

0.45月

0.44月

買入債務回転期間

0.67月

0.68月

0.67月

安定性・流動性

自己資本比率

18.51%

13.54%

16.74%

流動比率

181.69%

164.44%

182.57%

固定長期適合率

70.88%

69.98%

69.49%

成長性・生産性

売上高増加率

4.71%

4.88%

5.15%

経常利益増加率

39.48%

31.70%

20.37%

1人当たり売上高

50,443千円

48,366千円

47,492千円

採算性

売上高損益分岐点倍率

1.03倍

1.03倍

1.05倍

集計企業数

340社

350社

370社

料:帝国データバンク『全国企業財務諸表分析統計(第57〜59版(平成26〜28年発行))』(その他の飲食料品小売業)