卸売業
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非鉄金属卸売業

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このシグナルは、現状から今後6ヵ月間の見通しを短評。

経済産業省『商業統計表・産業編』(平成27年12月公表)によると、非鉄金属卸売業の平成26年の事業数は5,077所、従業員数は36,155人、年間商品販売額は6,438,023百万円となっている。非鉄金属は国内だけでは需要をまかないきれず、海外から鉱石を輸入しているため、昨今の円安傾向は逆風となっている。その反面、自動車や住宅など回復の兆しがみられるほか、最大の銅消費国である中国の需要回復という追い風も吹いている。個別の企業を見る場合は、内需対策としての自動車・住宅産業に対するアプローチや外需を中心とした輸出の強化にどのように取り組んでいるかがポイントとなるであろう。(平成29年7月改訂 中小企業診断士・三上康一  http://www.triple-up.net/

5690.jpg業界動向

 

年間商品販売額

事業所数

従業員数

平成14年

5,254,677百万円

2,455

27,291人

平成19年

8,967,272百万円

2,907

33,889人

平成24年

8,950,926百万円

4,938

34,427人

平成26年

6,438,023百万円

5,077

36,155人

資料:経済産業省『商業統計表・産業編』平成27年12月公表(非鉄金属卸売業)、平成24年は総務省『経済センサス-活動調査』平成25年11月公表(非鉄金属卸売業)

 ※複数の出典からなる上記指標について、各調査項目の定義、調査時点の相違などから、厳密には両指標の数値と連結しない部分がある。数値の解釈に当たっては留意されたい。

1平成20年10月以降は銅、亜鉛、アルミニウム相場が急落し、半額以下に暴落した商品を抱えて資金繰りが悪化した業者も増えた。平成26年から27年にかけて持ち直したものの、その後下落し、平成26年の水準に戻っている(アルミ地金相場 平成29年5月現在)。

2旧財閥系商社のグループ会社が大きなマーケットシェアを持っており、上位10社で約8割のシェアを占める(業界動向サーチhttp://gyokai-search.com/3-hitetu.html)。その一方で独立系の多数の中小業者が営業活動を行っている。

5698.jpg業態研究

■ 取扱商品の性格

1非鉄金属とは文字どおり、鉄以外の金属であり、具体的には、銅・鉛・亜鉛・スズ・ニッケルなどをいう。家電・建設・電力設備など幅広い業界に販売されるため、需要は個人消費・設備投資などの影響を受けやすい。また希少金属である金は資産としての役割もあり、投資需要も大きい。

2非鉄金属は、①銅、鉛、亜鉛のベースメタル、②アルミニウム、チタンなどの軽金属、③金、プラチナなどの貴金属、④コバルト、タングステン、インジウム、レアーメタルなどの鉄以外の金属の総称である。銅は約60%が電線用で、残りの40%が銅管、銅板等の伸銅品である。銅管はエアコン用に、また銅板は半導体、電子部品用などである。鉛は約70%が自動車などのバッテリー向けである。従来は、鉛は水道管や電線被覆用にも使用されていたが、近年は環境保護対策で塩ビ樹脂などに代替されてきている。アルミ地金はこれらの素材として有望であり、缶、エアコン、サッシなどには需要があるが、日本は精錬事業から撤退しており、輸入地金に依存している。

■ 業界特有の課題

 ロンドン金属取引所(LME)は非鉄金属取引の世界的な中心地であり、その取引価格を公表することにより、非鉄金属の国際価格をリードしているため、LMEにおける銅、鉛、アルミなどの円換算価格は、国内の製品市場に大きな影響を与える。昨今の動きとしては、東南アジア、中国などの需要が拡大、平成24年末にかけては世界景気の減速がやや和らいだために国際相場が上昇し、円安傾向も重なったため国内価格も押し上げられた。しかし、平成27年以降は、いずれも相場が下落している。

■ 流通形態

 非鉄金属は、それぞれの製品群によって流通経路が異なる。一般的には、メーカーから総代理店、代理店、販売店、ユーザーの経路をとる。

5677.jpg流通・資金経路図

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5709.jpg営業推進のポイント

■ 売上の見方

 帝国データバンク『第59版全国企業財務諸表分析統計』平成27年度・平成28年11月発行(非鉄金属卸売業)によれば、売上に関する主な指標は次のとおりである。

   1人当たり売上高  140,208千円

   売上高増加率  3.04%

■ 採算の見方

 前掲『第59版全国企業財務諸表分析統計』によれば、採算に関する主な指標は次のとおりである。

   総資本経常利益率  3.15%

   売上高総利益率  13.57%

   売上高営業利益率  1.16%

   売上高損益分岐点倍率  1.19倍

■ その他の着眼点

 前掲『第59版全国企業財務諸表分析統計』によれば、効率性・安定性に関する主な指標は次のとおりである。

   総資本回転期間  7.40月

   固定資産回転期間  2.09月

   自己資本比率  32.17%

   流動比率  211.83%

■ 取引深耕のためのチェックポイント

1商品企画や情報提供などの機能は十分か。

2製品の品揃えは十分か。また専門的か総合的か。

3仕入先からの商品の安定供給は大丈夫か。

4在庫管理がよくなされているかどうか。また在庫水準が高くなっていないか。長期停滞在庫がないかをチェックする。

5売上高総利益率は十分確保しているか。

6売上債権の回収は順調か。

7流通ルートはどうか。取引小売店の店舗数、販売力をみる。

8国際化への対応は十分か。

9経営者の資質、人柄をみる。

10原材料高騰時に備え、キャッシュフローは潤沢にあるか。

11ジャストインタイムに商品を提供するための倉庫などの体制はあるか。

5716.jpg融資判断のポイント

■ 事業性評価のポイント

 金属加工などの、これまでの非鉄金属分野が対象にしていた技術や製品に限らず、例えば光ファイバー製品、アルミニウム建築構造材などの成長が期待できる分野への事業拡大を検討しているかにより企業の成長性が左右される。

■ 運転資金

 前掲『第58版全国企業財務諸表分析統計』によれば、売上債権回転期間と棚卸資産回転期間の合計は3.36月。買入債務回転期間は2.10月であり、平均1.26月分の経常運転資金需要が発生する。

■ 設備資金

 店舗改築や倉庫建設などの設備資金のほかに、情報化設備の導入資金需要がある。

■ その他のチェックポイント

 金属加工など、これまでの非鉄金属分野技術や製品に限らず、たとえば光ファイバー製品、アルミニウム建築構造材などの成長が期待できる分野への複合的かつ幅広い事業拡大が試みられているが、それらの事業拡大への動きに対して情報収集や対応が十分なされているかにより、企業の成長性が左右される。

■ 〈制度融資ガイド〉

 各都道府県 設備近代化資金貸付

主な経営指標

調査年

項目

平成25年度

平成26年度

平成27年度

収益性

総資本経常利益率

2.82%

3.75%

3.15%

売上高総利益率(粗利益率)

13.57%

13.51%

13.57%

売上高経常利益率

1.60%

1.92%

1.68%

売上高営業利益率

1.23%

1.61%

1.16%

売上高金利負担率

0.39%

0.35%

0.33%

効率性

総資本回転率

1.99回

2.18回

2.20回

売上債権回転期間

2.47月

2.36月

2.28月

棚卸資産回転期間

0.94月

1.00月

0.94月

買入債務回転期間

2.20月

2.10月

1.96月

安定性・流動性

自己資本比率

31.16%

30.35%

32.17%

流動比率

184.77%

192.37%

211.83%

固定長期適合率

50.48%

48.04%

49.66%

成長性・生産性

売上高増加率

3.78%

8.41%

3.04%

経常利益増加率

85.42%

83.04%

38.79%

1人当たり売上高

143,513千円

145,418千円

140,208千円

採算性

売上高損益分岐点倍率

1.06倍

1.07倍

1.19倍

集計企業数

242社

263社

247社

資料:帝国データバンク『全国企業財務諸表分析統計(第57〜59版(平成26〜28年発行))』(非鉄金属卸売業)