製造業
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芳香消臭脱臭剤製造業

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このシグナルは、現状から今後6ヵ月間の見通しを短評。

経済産業省『工業統計表・産業編』(平成28年3月公表)によると、他に分類されない化学工業製品製造業の平成26年の事業数は前年比0.9%減の419所、従業員数は同2.2%減の20,805人、出荷額は同7.3%増の1,120,351百万円となっている。輸入に頼っていた芳香消臭脱臭剤の容器や原材料の価格が安定したことで、為替相場の変動による収益性の悪化からは抜け出せたようである。(平成29年7月改訂/中小企業診断士・宮澤俊基  http://gennovation.co.jp

5804.jpg業界動向

 

出荷額

事業所数

従業者数

平成24年

1,104,330百万円

437

21,936人

平成25年

1,043,921百万円

423

21,271人

平成26年

1,120,351百万円

419

20,805人

資料:経済産業省『工業統計表・産業編』平成28年3月公表(他に分類されない化学工業製品製造業)

1防虫剤メーカーとの兼業メーカー、および、化学、製薬メーカーが市場で競争をしている。平成24年頃までは高成長市場と位置づけられ、異業種からの参入も多かったが、近年では出荷額も横ばいとなっている。

2市場規模は約850億円で、主力製品は室内用・トイレ用・冷蔵庫用が約420億円、トイレタンク用が約180億円、布製品用が約110億円、自動車向け約140億円となっている。(芳香消臭脱臭剤協議会・推計データ(平成16年3月見込み))

3市場の有望性はあるが、反面参入企業も多く、香りに対するニーズ、最近の売れ筋動向を把握したうえで、インテリアとしての提案、原材料にさかのぼった安全確保、環境に対する配慮、表示に対する科学的根拠が必要である。

4当業界は即効性やファッション性などの商品開発やシェア争いで大手企業がしのぎを削っており、資本力で分の悪い中小企業にとっては価格転嫁のできる高付加価値商品を開発できるか否かが企業判断のポイントとなる。百円ショップ等でも販売されている商品もあり、今後はより一層の差別化が重要となる。継続的な商品開発と商品ラインナップの絞り込みが重要となる。

他に分類

されない

化学工業製品製造業

事業所数

従業者数

(人)

製造品

出荷額等

(百万円)

生産額
(従業者30人以上)

(百万円)

付加価値額
(従業者29人
以下は粗付
加価値額)

(百万円)

419

20,805

1,120,351

936,858

370,194

4〜9人

105

648

27,296

12,437

10〜19人

95

1,325

57,769

21,956

20〜29人

67

1,631

71,916

26,086

30〜49人

65

2,530

145,763

141,858

45,953

50〜99人

39

2,733

162,429

152,841

64,287

100〜199人

24

3,120

154,144

144,389

53,756

200〜299人

12

2,811

170,668

171,159

73,562

300〜499人

8

2,775

88,842

86,717

24,724

500〜999人

3

2,022

×

×

×

1,000人以上

1

1,210

×

×

×

資料:経済産業省『工業統計表・産業編』平成28年3月公表(他に分類されない化学工業製品製造業)

5813.jpg業態研究

■ 種類

 芳香消臭脱臭剤は、「芳香」に「消臭」を付け加えた芳香消臭用品が主流となっている。これらは、容器や原料の一部を輸入し、国産素材と組み合わせて製品化するケースが多い。

 芳香剤、消臭剤、脱臭剤の区分は以下のとおり。

芳香剤

空間に芳香を付与するもの

消臭剤

臭気を化学的作用または感覚的作用などで除去または緩和するもの

脱臭剤

臭気を物理的作用などで除去または緩和するもの

資料:芳香消臭脱臭剤協議会ホームページより

 脱臭剤はその方式により大きく次の4つに分けられる。

 (1)化学的脱臭剤:空気中の臭気と結合したり、化学分解をする

 (2)物理的脱臭剤:臭気を吸収してしまう、被膜をおおうもの

 (3)生物的脱臭剤:酵素の働きにより分解する

 (4)官能的脱臭剤:臭気より強い芳香によるもの

 この種類の違いにより用途も異なってくる。また工業用脱臭剤、つまり清掃場、悪臭を出す工場などで使用するものと家庭用脱臭剤という区分もできる。ここでは家庭用脱臭剤を中心に述べる。

■ 製品構成

 メーカーは、大半が防虫剤、芳香剤などをあわせて製造しており、売上に占める脱臭剤のウエイトも低いといわれる。かつては、トイレで使用するものが大半を占めていたが、近年は台所、冷蔵庫、自動車、室内へと用途が広がる一方、タバコ臭用、ペット臭用、生ゴミ用など特定の臭い除去専門の製品が増えている。

5792.jpg流通・資金経路図

k_112.gif

5821.jpg営業推進のポイント

■ 売上の見方

1帝国データバンク『第59版全国企業財務諸表分析統計』平成27年度・平成28年11月発行(その他の化学工業)によれば、売上に関する主な指標は次のとおりである。

   1人当たり売上高  52,090千円

   売上高増加率  4.03%

2専門メーカーの防臭剤関係の売上高は年間1〜9億円程度であり、防虫剤そのほかの売上高の占める割合のほうが高く、防臭剤の売上高の2〜3倍になっている。

3売上高の伸び率は年3〜6%の伸びを示しているところが多いが、一部大手化学会社、製薬会社が進出してきたので、今後はシェア争いが激しくなると予想される。そのため、個別には伸び率が低下する企業も出てくると予想されるので注意を要する。

■ 採算の見方

1前掲『第59版全国企業財務諸表分析統計』によれば、採算に関する主な指標は次のとおりである。

   総資本経常利益率  4.56%

   売上高総利益率  32.92%

   売上高営業利益率  3.57%

   売上高損益分岐点倍率  1.14倍

2メーカーの出荷価格は売価の50〜60%である。製品単価が低く、家庭用品雑貨に属するいわゆる最寄品であるから、販売網を開放的に広げる多店化を図らなければならず、販売経費は高くつくとみなければならない。

3売上は、全般的に高い伸びをみせているが、用途により伸び率に格差が生じている。また、かなり競合の激しくなっている分野もあり、ヒット製品の有無が収益にも大きく影響している。

4航空会社、JR、高速バス関係に納入しているメーカーは、需要先が固定的で大口需要であるため、製品単価は一般の場合よりも低くなるが、直売方式をとっているため販売経費が少なくて済み、収益性は安定している。

■ その他の着眼点

 前掲『第59版全国企業財務諸表分析統計』によれば、効率性・安定性に関する主な指標は次のとおりである。

   総資本回転期間  13.21月

   固定資産回転期間  5.63月

   自己資本比率  38.83%

   流動比率  311.18%

■ 取引深耕のためのチェックポイント

1兼業の割合はどの程度か。

2主力製品は何か。製品構成と今後の見通しはどうか。また、販売網は整備されているか。

3ブランドイメージはあるか。

4製品開発に対する意欲、態勢はどうか。

5売上高の推移、収益性の推移はどうか。

5828.jpg融資判断のポイント

■ 事業性評価のポイント

 昨今の仕入調達価格上昇により運転資金需要が増す可能性もあり、月商予想・売上債権回収予想等を十分検討する必要がある。一方、価格競争が激しいことから仕入価格の上昇を価格転嫁できず、収益性を悪化させている点にも注意したい。

 兼業が多く当該部門単独の売上は把握できても収益さらに資金繰りを把握することは困難なケースが通常といえる。ただし収益の概要についてはデータを入手し、今後の方向づけや投資等の可否の判断要素とする。

■ 運転資金

 問屋・代理店筋の優劣によりサイト設定が異なり、有力取引先の確保が早期資金回収に繋がる。

■ 設備資金

 工場移転・機械設備、土地建物購入資金が発生。ただし、設備の必要性、投資回収計画および販売計画等を確認し、受注生産の場合には受注先の販売能力も調べる。

■ 返済原資

 全社売上に占める当該部門の売上、収益構成比率は低くても全社ベースで返済原資を算定することになるが、投資採算は部門単位での投下資本利益率を中心に算定し、かつ当該部門の利益および減価償却費を中心とするキャッシュフローで資金回収期間をとらえ、採上げの可否を判定するようにしたい。

■ その他のチェックポイント

1企業内容は総合的に判断していかなければならない。評価、経営者の人格・経営管理能力、後継者の育成、中間管理者層の管理能力、管理資料の整備の状態、技術水準など、企業内にとどまらず、業界での位置付けなども十分評価する。

2製品構成ならびに売上に占める割合、それらの推移と競争力の関連を調査する。

3問屋・代理店の状況につき調査し、主要なところについては特に吟味する必要がある。また、販売網の整備状況についてもチェックする。

4中小規模の企業が多いので、物的担保や人的担保の確保を図る。

5資金使途についてその適否を判断するにあたっては、十分に需要動向を調査する。

主な経営指標

調査年

項目

平成25年度

平成26年度

平成27年度

収益性

総資本経常利益率

4.29%

4.53%

4.56%

売上高総利益率(粗利益率)

30.56%

31.14%

32.92%

売上高経常利益率

3.99%

4.48%

4.58%

売上高営業利益率

3.06%

3.77%

3.57%

売上高金利負担率

0.70%

0.65%

0.55%

効率性

総資本回転率

1.34回

1.21回

1.30回

売上債権回転期間

2.67月

2.71月

2.61月

棚卸資産回転期間

1.28月

1.39月

1.30月

買入債務回転期間

1.62月

1.60月

1.48月

安定性・流動性

自己資本比率

37.17%

41.35%

38.83%

流動比率

292.17%

273.92%

311.18%

固定長期適合率

52.17%

57.22%

52.78%

成長性・生産性

売上高増加率

3.80%

5.80%

4.03%

経常利益増加率

61.55%

60.75%

89.45%

1人当たり売上高

55,491千円

51,527千円

52,090千円

採算性

売上高損益分岐点倍率

1.14倍

1.15倍

1.14倍

集計企業数

175社

174社

187社

資料:帝国データバンク『全国企業財務諸表分析統計(第57〜59版(平成26〜28年発行))』(その他の化学工業)