製造業
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かばん・袋物製造業

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このシグナルは、現状から今後6ヵ月間の見通しを短評。

経済産業省『工業統計表』によると、平成26年のかばん製造業(従業員数4人以上)の事業所数は265所、従業員数は4,352人、製品出荷額は60,656百万円となっており、また、袋物製造業(従業員数4人以上)の事業所数は363所、従業員数は4,366人、製品出荷額は61,164百万円となっている。かばんに対するニーズが、物を運ぶツールからファッションアイテムへと変化しており、紳士物・婦人物のほかにユニセックスという分野も確立されつつある。その中で、国内製品は欧米からの高価格ブランド品と東アジアからの低価格品の狭間で苦戦している。(平成29年7月改訂/中小企業診断士・三上康一  http://www.triple-up.net/

6000.jpg業界動向

 

出荷額

事業所数

従業者数

平成24年

61,508百万円

273

4,197人

平成25年

61,593百万円

260

4,373人

平成26年

60,656百万円

265

4,352人

資料:経済産業省『工業統計表・産業編』平成28年3月公表(かばん製造業)

 

出荷額

事業所数

従業者数

平成24年

60,529百万円

413

4,423人

平成25年

59,047百万円

384

4,458人

平成26年

61,164百万円

363

4,366人

資料:経済産業省『工業統計表・産業編』平成28年3月公表(袋物製造業)

かばん・袋物製造業の出荷金額の推移

 

出荷金額

前年比

平成24年

122,037百万円

+0.3%

平成25年

120,640百万円

▲1.1%

平成26年

121,820百万円

+1.0%

資料:経済産業省『工業統計表・産業編』平成28年3月公表(かばん及び袋物製造業)

1総務省統計局『家計調査年報(家計収支編 総世帯 品目分類)』によると、かばん類の年間消費額は増加傾向にある。

1世帯当たり年間の支出金額  (単位:円)

 

平成25年

平成26年

平成27年

ハンドバッグ

4,905

5,005

4,556

通学用かばん

813

953

1,105

旅行用かばん

725

808

922

他のバッグ

2,440

2,704

2,774

かばん類合計

8,882

9,470

9,358

資料:総務省統計局『家計調査年報(家計収支編 総世帯 品目分類)』平成28年2月公表

2国内市場は、ファッション性に富んだ高価格ブランド品と実用性を重視した低価格汎用品の二極化が進んでいる。日本製品の一般的な特質である高品質・高機能性を活かし、消費者ニーズにあった商品づくりと販売展開が課題である。かばん・袋物の種類は多く、材質も皮革、合成皮革、人口皮革、塩化ビニール、化学繊維、天然繊維など多種多様であり、近年はその型、色、光沢などに関して、ファッション性が高くなってきているため、市場調査能力、情報収集能力や商品の企画力が必要とされている。

3少子化の影響で縮小が進む学童学生用かばん市場ではあるが、ブランド製品や色、機能に特徴のあるランドセルの需要は依然として高い。人気子ども服メーカーとライセンス契約を結びブランド力を強化する動きや、従来の黒と赤以外にさまざまな色の商品を製造することで、需要拡大を図るメーカーが増えている。子ども一人当たりに対する親・祖父母の支出は増加傾向の中、デザインや機能の高付加価値化による商品開発力の巧拙が企業判断のポイントになるであろう。

6008.jpg業態研究

■ 主力商品の性格

 一般にかばんは季節性が強く、かつ流行にあまり左右されない。他方、袋物はファッション性が高いこともあり、ライフサイクルが短いので、デッドストックが生じる危険性が高い。

■ 営業形態

 自社一貫生産型と部分外注型に大別され、一部に外注依存・仕上自社型がある。これは、製造工程が手作業によること、小資本および製造コストの削減からくるものである。

■ 生産形態

 季節性が強いものが多いので、見込みによる備蓄生産方式である。例年、試作したサンプルをもとに問屋からおおよその予約注文をとり、8〜12月にストック生産を行う。

■ 主要資材

 素材の大半は自己調達となるので、安定した供給業者を確保しておく必要がある。

■ 加工過程の特色

 基本工程は、型起し→裁断→部分縫製→接合縫製→金具・締具付け→仕上であり、手作業による工程が多く、部分的に内職へ依存するケースも多い。

■ 設備形態

 主要設備は、裁断機、ミシン程度である。最近ではコンピュータ制御によるものも増加しており、人的な経験、カン、熟練によるものから単純化と技術の平準化が図られている。

■ 経営形態

 かばん製造業、袋物製造業ともに、小規模企業が多い。小規模ゆえに人材不足や後継者難の問題を抱えながらも、自社の強みを活かして外部環境の激しい変化に対応する企業がある一方、技術力・企画力が乏しく事業から撤退を余儀なくされている企業も多くなっている。

5964.jpg流通・資金経路図

k_070.gif

5979.jpg営業推進のポイント

■ 売上の見方

1帝国データバンク『第59版全国企業財務諸表分析統計』平成27年度・平成28年11月発行(かばん製造業・袋物製造業)によれば、売上に関する主な指標は次のとおりである。

 

かばん製造業

袋物製造業

1人当たり売上高

29,127千円

37,397千円

売上高増加率

7.75%

8.78%

2ほとんどのメーカーは、消費地の問屋または産地問屋に納入しているが、地方のメーカーのなかには、産地問屋の性格が強く、直接消費地にネットワークをもって販売するものもある。また、大手スポーツ用品会社、化粧品会社などのOEM契約により、相手先ブランドで納入するケースもある。いずれにしても、安定した販売ルートを確保していることが必要である。

3学生かばん、旅行かばんなど季節性が強いメーカーの場合は、製品構成の組合せにより、売上の平準化が図られているかどうかがポイントである。

■ 採算の見方

1前掲『第59版全国企業財務諸表分析統計』によれば、採算に関する主な指標は次のとおりである。

 

かばん製造業

袋物製造業

総資本経常利益率

3.03%

0.51%

売上高総利益率

34.29%

22.47%

売上高営業利益率

2.62%

▲2.02%

売上高損益分岐点倍率

1.10倍

1.02倍

2ランドセル、学生かばんなどの規格化が進んでいるものは利益率が低く、反対にファッション性の高いもの、有名高級ブランド品は利益率が高い。

3製造原価に占める直接材料費の割合は60%前後と高いので、材料ロスを少なくすることが収益率のアップにつながる。

4下請的な加工賃仕事の企業と、自ら商品企画やデザインを行う企業や販売体制の整っている企業とでは、収益性の面で相当な差がつく。

■ その他の着眼点

 前掲『第59版全国企業財務諸表分析統計』によれば、効率性・安定性に関する主な指標は次のとおりである。

 

かばん製造業

袋物製造業

総資本回転期間

12.05月

11.00月

固定資産回転期間

5.21月

3.36月

自己資本比率

23.93%

14.24%

流動比率

336.21%

170.22%

■ 取引深耕のためのチェックポイント

1季節性が強い製品を主力とするメーカーの場合、シーズンの3カ月前後に生産が集中するので、材料仕入決済と売上回収とのズレがないかを十分注意する。

2製品のグレードは高級、中級、それ以外のうちどれが主要なものとなるか。

3用途は、ビジネス用、学生用、旅行・レジャー用、婦人向けのうちどれが主要なものとなるか。

4生産能力、生産技術、販売能力はどの程度か。また、企画・開発能力が重要であることから、人材の資質向上・育成ができているか。

5下請の確保と協力体制はどうか。また、材料供給業者との関係は緊密であるか。

6生産形態は問屋に支配されているか、独自の販売ルートをもった市場志向の生産形態であるか。

7ファッション感覚や市場調査能力、情報収集能力、商品開発力をもち合わせているか。

5988.jpg融資判断のポイント

■ 事業性評価のポイント

 材料供給業者との関係は緊密であるか。生産形態は問屋支配型か、独自の販売ルートをもった市場志向型か。ファッション感覚や市場調査・情報収集・商品開発力をもち合わせているか。

 季節性が強い製品を主力とするメーカーの場合、シーズンの3カ月前頃に生産が集中するので、材料仕入決済と売上回収とのズレがないかを十分注意する。

 一部高収益企業の強みの源泉は、高額品が主体となる場合はブランドの確立、デザイナーのファッションセンス、それを支える技術水準、販売ルートの定着があると考えられる。一方で低収益企業はコスト競争力、販売チャネル確立等に難があると思われ、その強みと弱み、その強みは持続可能なものか、見極めが求められる。

■ 運転資金

1問屋からの回収は現金比率40%であり、残りは90〜150日サイトの手形が大半である。

2原材料の支払については手形で行い、サイトは90〜150日である。外注費については、現金支払が通常である。

3例年4〜5月に原材料の発表会、6〜7月に製品の展示・発注会を行い、8〜12月に生産を行う。資金の回収は翌年3〜5月となる。

4したがって、8〜12月に下請への支払、10〜3月に材料の支払期日となり、3〜5月の回収時期まで短期の運転資金を必要とする。通常、手形貸付や手形の割引となる。

5運転資金の借入申込の際は、実需の裏付けのあるものか、あるいは在庫資金、なかでもデッドストックに対応したものかどうかを十分チェックする必要がある。

6資金繰りは商品力で大きく異なる。商品力が高ければ在庫負担は少なく、売掛債権も含めて流動資産の回転率は高く金融依存度は低くなる。売上高、利益水準、経常収支率が高くなり資金基盤が充実することになる。

■ 設備資金

1設備としては、コンピュータ制御の裁断機・ミシンの導入や更新程度で、比較的少額である。

2人手の確保と中央消費地との直接取引から、倉庫業的な機能も必要となってきており、本社、工場、倉庫の新築・改築資金需要も見られるようになっている。

3大型機械の導入に対する融資に際しては、販売量の裏付け、長期の収支見通しを十分調査し、無理のない返済条件を設定する。

■ 〈制度融資ガイド〉

 セーフティネット保証

 日本政策金融公庫 新企業育成貸付

          企業活力強化貸付

          セーフティネット貸付

          企業再生貸付

 また、都道府県の中小企業振興融資制度として、経営安定、短期事業資金、設備近代化、地場産業対策、経済変動対策などについて融資活用できる。

主な経営指標

調査年

項目

平成25年度

平成26年度

平成27年度

収益性

総資本経常利益率

4.96%

4.34%

3.03%

売上高総利益率(粗利益率)

29.43%

26.78%

34.29%

売上高経常利益率

3.96%

3.52%

2.81%

売上高営業利益率

3.31%

2.44%

2.62%

売上高金利負担率

1.05%

0.86%

0.82%

効率性

総資本回転率

1.43回

1.33回

1.40回

売上債権回転期間

1.90月

1.90月

1.57月

棚卸資産回転期間

2.01月

2.30月

2.36月

買入債務回転期間

1.06月

1.11月

0.88月

安定性・流動性

自己資本比率

19.91%

31.34%

23.93%

流動比率

298.33%

353.66%

336.21%

固定長期適合率

47.92%

49.53%

55.46%

成長性・生産性

売上高増加率

4.19%

▲1.15%

7.75%

経常利益増加率

59.02%

2.27%

10.96%

1人当たり売上高

29,286千円

31,120千円

29,127千円

採算性

売上高損益分岐点倍率

1.16倍

1.13倍

1.10倍

集計企業数

22社

24社

24社

資料:帝国データバンク『全国企業財務諸表分析統計(第57〜59版(平成26〜28年発行))』(かばん製造業)

調査年

項目

平成25年度

平成26年度

平成27年度

収益性

総資本経常利益率

2.95%

2.94%

0.51%

売上高総利益率(粗利益率)

26.77%

31.01%

22.47%

売上高経常利益率

2.28%

1.43%

1.20%

売上高営業利益率

▲1.51%

1.48%

▲2.02%

売上高金利負担率

1.24%

0.96%

1.04%

効率性

総資本回転率

1.51回

1.89回

1.37回

売上債権回転期間

2.29月

1.85月

1.90月

棚卸資産回転期間

2.23月

1.48月

2.01月

買入債務回転期間

1.14月

0.88月

1.50月

安定性・流動性

自己資本比率

18.67%

30.72%

14.24%

流動比率

231.72%

296.75%

170.22%

固定長期適合率

47.35%

41.16%

58.30%

成長性・生産性

売上高増加率

4.59%

4.42%

8.78%

経常利益増加率

123.83%

148.82%

26.81%

1人当たり売上高

33,362千円

39,265千円

37,397千円

採算性

売上高損益分岐点倍率

1.07倍

1.04倍

1.02倍

集計企業数

16社

17社

14社

資料:帝国データバンク『全国企業財務諸表分析統計(第57〜59版(平成26〜28年発行))』(袋物製造業)