◆注目の話題
 
A  平成 29 年度税制改正の注目ポイント
 

1. 研究開発税制の見直し
  増加型が廃止され、試験研究費の増減に応じて総額型の控除率が増減する形に見直しされます。また、試験研究費の範囲に第四次産業革命型( IOT ・ビッグデータ等)のサービス開発費も加えることとなりました。
  これは平成 29 年 4 月以降開始事業年度について適用されます。

関連項目→―研究開発費で一石二鳥の企業強化―

2. 中小企業向けの租税特別措置の適用制限
 
従来は資本金または出資金の額が 1 億円以下の法人について適用されていた中小企業向けの優遇措置の一部について、直前 3 事業年度の平均所得金額が 15 億円を超える法人については適用しない旨の制限が入りました。
 制限対象となるのは租税特別措置法の規定のみです。
 平成 31 年 4 月以降開始事業年度について適用されます。

3. 所得拡大税制の見直し(中小企業者等)
 給与等を増加した場合の税額控除制度について、継続雇用者一人当たりの平均給与額が 2 %以上となる場合に税額控除額が上乗せされることとなりました。
 従来は給与総額が基準事業年度(平成 25 年 3 月期〜平成 26 年 2 月期)から増加した部分について 10 %の税額控除とされていましたが、上記要件を満たす場合には最大で 22 %の税額控除を受けることができる形となりました。
 平成 29 年 4 月以降開始事業年度について適用されます。

関連項目→所得拡大税制の大幅な拡充(平成 29 年税制改正)

4. 中小企業向け設備投資促進税制の改正
 従来、中小企業向けの設備投資税制といえば中小企業投資促進税制と生産性向上設備投資促進税制が主で、双方の要件を満たす場合には中小企業投資促進税制の上乗せ措置として最大の税制優遇(即時償却または 10 %税額控除)を受ける事が可能でした。
 これが、平成 29 年 3 月において生産性向上設備投資促進税制は廃止され、上乗せ措置部分については中小企業経営強化税制という新しい税制へ改組されることとなりました。
 経営力向上計画の承認を受けるという手続が追加されましたが、優遇措置の内容としては上乗せ措置部分と同様であり、対象資産の範囲も広がっています。今後の設備投資減税の代表格としての期待が集まる税制といえます。
 平成 29 年 4 月以降に取得等した固定資産について適用されます。

関連項目→中小企業経営強化税制の新設

5. 配偶者控除の見直し(所得税)
 所得税の配偶者控除について、いわゆる「 103 万円の壁」問題を解消するため、配偶者の給与収入ベースで 150 万円までは配偶者控除額に事実上制限を課さない形の改正を行いました。
 また、同時に納税者本人が高額所得者である場合には配偶者控除額に制限をかける形の改正も行われ、給与収入ベースで 1,220 万円を超える納税者については適用を受けられない形となります。
  平成 30 年分以後の所得に係る所得税・住民税について適用されます。

関連項目→所得税、配偶者控除枠の拡大(平成 29 年税制改正)

6. 積立 NISA 制度の創設
 従来の NISA 制度とは別に積立型の NISA 制度が導入されます。これは、運用益が非課税となる点と他の特定口座取引と損益通算できない点は従来と同様です。
 本制度は、長期的・継続的投資を前提とした制度であり、投資限度額の累積額は従来の NISA を上回っていますが、一年あたりの積立額は従来の NISA を大幅に下回り、株式等の短期的な売買を前提とした商品は対象とならない見込みとなります。
 平成 30 年 1 月 1 日より適用されます。

関連項目→ NISA の拡充

7. タワーマンションに係る課税の見直し(固定資産税・不動産取得税)
 タワーマンションに係る固定資産税の税額計算および不動産取得税の評価額について一定の見直しが行われました。
  従来、タワーマンションが問題になっていたのは主に相続税対策としての分野であり、今回の改正が直接タワーマンション節税にどこまで影響するかは不透明です。
 改正の内容としては、同じタワーマンションであっても1u当たりの単価は高層階ほど高めに設定して計算という趣旨のものですが、例として 40 階の単価が 1 階の 1.1 倍程度という計算式であり、一般的な市場価格と乖離が生まれている点では改正前に比べて大幅な見直しがあったとは言えない内容のものです。
 相続税については今後も新たな規制が入る可能性があり、今回の固定資産税の改正はその足がかりと考えるべきといえます。
 なお、この改正は平成 30 年度課税分より適用されます。

関連項目→タワーマンション節税が否認されるケースが増える

8. 広大地評価の見直し(相続税)

 広大地の評価方法に見直しが入ることとなりました。従来は、どのような形状の土地であるかを考慮に入れずに面積の比例計算で評価額を算出していましたが、今回の改正で土地の形状・面積とうの個性に基づいて一定の補正率を乗じて計算する形に見直しを行うこととなりました。
  従来に比べて、市場取引価額と相続税評価額との差額は小さくなる見込みですが、補正率が未発表であるため、実際の実務にどの程度の影響が起きるかは現状では不透明といえます。
  この改正は平成 30 年 1 月 1 日以降の相続等に適用されます。

9. 自社株評価の見直し(相続税)
 自社株式の評価方法に見直しが入ることとなりました。
 今回の改正は主に類似業種比準価額方式と会社規模判定の見直しです。
 まず、類似業種比準価額の主な見直しは下記の3点です。
@配当・利益・純資産の加重平均計算について、利益の比重を3倍と   していた部分を見直して 1 : 1 : 1 の計算へ変更
A国税庁が発表している類似業種の比準要素(配当・利益・純資産)に ついて、連結会計ベースの金額に変更
B国税庁が発表している類似業種の株価について、直近3か月分の数 値と前年平均の数値以外に、直前 2 年間の平均数値も選択できるよ うに変更
 次に、会社規模判定の見直しは主に大会社として判定されやすくなる趣旨のものであり、結果的に類似業種比準価額を適用できる割合が増える形となります。
 この改正は平成 29 年 1 月 1 日以降の相続等に適用されます。

(文責:辻・本郷税理士法人 http://www.ht-tax.or.jp/


  • 2017年5月改訂版
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