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提案シートU 個人編 1 売却・買換え

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9 不動産譲渡損益の通算

1.損益通算不可能に
 平成15年までは、自宅や賃貸用不動産の売却損は他の黒字の所得(給与所得、事業所得等)から控除(損益通算)することができました。
 例えば、賃貸マンションの売却損1,000万円を給与所得1,200万円から控除して、残りの200万円について課税対象とすることができたのです。
 しかし、不動産譲渡税率の引下げとの見合いで平成16年1月1日からの土地、建物等の売却損については、土地、建物等の譲渡所得以外の所得との通算および翌年以降への繰越控除が原則としてできません。
 前述の例でいえば、1,000万円の売却損は切捨てとなり、給与所得1,200万円に対して課税されることになります。

2.居住用不動産の特例
 居住用不動産(自宅)の売却損については、次の2つの場合にかぎり、損益通算および翌年以降3年間の繰越控除が認められます。
@自宅買換の場合で一定の要件(※)を満たすもの
A特定居住用財産の売却損
 自宅買換をせず、自宅を売却しても住宅ローンを完済しきれない場合に、売却損失のうちその残債部分の金額について適用となります。

(※)一定の要件とは、以下のすべてを満たす場合です。
(1) 売却資産の用件
@譲渡年の1月1日において所有期間5年超で平成16年1月1日〜平成29年12月31日までの譲渡(ただし親族等への譲渡は除く)
A売却資産のうち、敷地については500uまでの部分について適用(500u
 超の部分の売却損は適用外)
(2) 買換資産の要件
 売却した年の前年1月1日から翌年12月31日までに取得し、取得年の翌年末までに居住すること。また、居住用部分の床面積は50u以上とすること。適用を受ける年末において一定の住宅借入金等の残高があること。
(3) 所得要件
 合計所得金額が3,000万円以下である年分について適用

3.土地・建物等の譲渡所得との通算
 売却損が他の所得と損益通算できなくなりましたが、他の土地、建物等の売却益とは通算することができます。
 譲渡所得でも株式やゴルフ会員権、絵画等の譲渡益との通算はできません。

4.空家にかかる譲渡所得の特別控除の特例
 空家の発生を抑えるため、相続により生じた空家の譲渡に特別控除の特例措置が創設されました。
 相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。)または建物の取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋または除却後の土地の譲渡益から3,000万円を控除することができます。
 適用要件は以下のとおりです。
@相続した家屋は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物(マンション等)を除く。)であって相続発生時に、被相続人以外に居住者がいなかったこと。
A譲渡をした家屋または土地は、相続時から譲渡時点まで、居住、貸付け、事業の用に供されていたことがないこと。
B譲渡価格が1億円を超えないこと。
 適用期間は平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡されたものに限ります。
 なお、当該特別控除は、相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(取得費加算の特例)と選択適用となります。

5.今後の対応
 リーマンショック以降、不動産価額の下落が続き、不動産を取り巻く環境は厳しさを増す一方でした。
 近年はアベノミクスによる期待感やオリンピック開催決定により持ち直しを見せる物件も見受けられるようになりましたが、売却損が発生する状況においてどのような対策が考えられるのでしょうか?

(1)同一年に譲渡
 売却損が生じる同じ年に、古くから所有していたもの、相続で取得したものなど利益の生じるものを売却します。
(2)不動産賃貸会社の活用
 譲渡損の通算不可は個人に対する課税であり、法人については影響を及ぼすものではありません。今後の賃貸物件の取得や利益の出る物件の売却は、自分の不動産賃貸の会社を活用(設立)することが考えられます。

(文責: 辻・本郷税理士法人 http://www.ht-tax.or.jp/

    関連項目→
  • 不動産売却にかかる税金(居住用)
 

 

 
  • 2017年5月改訂版
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