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提案シートI 平成29年度注目対策 2 法人

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5  新事業承継税制の開始

 従来の事業承継税制は適用要件が厳しく、積極的な活用が多くなかったこともあり、平成25年度の税制改正において制度の使い勝手を高める抜本的な見直しが行われました。
 この改正により、想定外の相続税負担が発生した場合に、納税猶予税額を緊急回避的に繰り延べることも可能となり、従前に比べて使い勝手がよくなりました。

1.制度の概要

(1)贈与税の納税猶予制度
 後継者である受贈者が、経済産業大臣の認定を受ける非上場株式等を先代経営者である親族から一定以上贈与により取得し、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき贈与税のうち、その株式等(議決権割合の3分の2まで)に対応する贈与税の全額の納税が猶予される制度です。

(2)相続税の納税猶予制度
 後継者である相続人等が、経済産業大臣の認定を受ける非上場株式等を先代経営者である被相続人から相続等により取得し、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき相続税のうち、その株式等(議決権総数の3分の2まで)の課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予される制度です。

2.新事業承継税制のポイント

(1)要件の緩和

@親族外承継も適用対象
 旧制度では、後継者は現経営者の「親族」に限定されていましたが、新制度では「親族以外の者」に対する遺贈・贈与も納税猶予の適用対象となり、後継者の範囲が拡大されています。
 したがって、親族内に後継者候補がいない場合においても事業承継税制を活用することができるようになっています。

A雇用8割維持要件の緩和
 旧制度では、相続・贈与時点における雇用者数の8割以上を「5年間毎年維持」し続けることが適用要件(8割を下回った時点で納税義務が発生)とされていましたが、新制度では、雇用者数の8割以上を「5年間平均で維持」に緩和されています。

B役員退任要件の緩和
 贈与税の納税猶予を適用するためには、経営者は贈与時に役員を退任しなければなりませんでしたが、新制度では、役員を退任しなくても代表者でなくなれば贈与税の納税猶予制度が活用できるようになっています。なお、有給役員としての残留も可能です。

(2)手続の簡素化

@提出書類の簡略化
 相続税等の申告書、継続届出書等に係る添付書類が大幅に減量されました。

A株券不発行会社への適用拡大
 株券不発行会社において、株券を発行しなくても、担保提供が可能となりました。

B猶予税額に対する延納・物納の適用
 一定の取消事由により、猶予税額を納付しなければならないときは、延納や物納が可能となりました。

(3)負担の軽減

@利子税負担の軽減
 要件を満たせずに納税猶予が打ち切りとなった際に支払いが必要となる利子税については、税率が引き下げられ(改正前2.1%→改正後0.9%)、さらに、承継5年超で5年間の利子税が免除されます。

A納税猶予額の再計算の特例の創設
 旧制度では、相続や贈与から5年後以降に後継者が死亡したり、会社が倒産した場合は納税が免除されていましたが、新制度では、民事再生・会社更生・中小企業再生支援協議会での事業再生の際にも納税猶予額を再計算し、一部が免除されることとなっています。

B納税猶予額計算における債務控除方式の変更
 従来、現経営者の個人債務や葬式費用は株式から控除することとされていたため、猶予税額が少なく算出されていました。新制度では、個人債務や葬式費用を株式以外の相続財産から控除することができ、債務の相続があっても株式の納税猶予をフルに活用できます。

(4)平成27年度税制改正による拡充(平成27年4月1日以降の贈与について適用)

 事業承継税制の適用を受けた後、初代が存命中に二代目が三代目に株式を贈与した場合には、二代目が猶予されていた贈与税に納税義務が生じることになっていましたが、平成27年度の税制改正により三代目への承継を円滑に進めることができるように、三代目が納税猶予制度を活用して二代目より株式の贈与を受けた場合には、二代目に贈与税の納税義務が生じないよう制度の拡充が図られています。

(5)平成29年度税制改正による拡充(平成29年1月1日以降の贈与等について適用)

  平成29年度税制改正により、事業承継税制については下記2点の要件緩和・拡充が行われました。
@雇用8割維持要件の再緩和
 改正前は1人未満の端数は切り上げとして8割要件の人数を計算していましたが、改正後は切り捨てとして処理される形となりました。
  特に従業員数が数人しかいない法人にとっては維持すべき人数が1人減るだけでもその負担は軽くなったといえるでしょう。
A相続時精算課税制度との併用が可能に
 贈与時に相続時精算課税制度との併用が可能となります。相続時精算課税を用いれば、贈与から相続発生までの間に要件を満たせなくなった場合に納付することになる贈与税の税率を20%に固定することができるため、事業承継税制を適用して生前贈与を行う場合のリスクを低減する選択肢が生まれたといえるでしょう。

(文責: 辻・本郷税理士法人 http://www.ht-tax.or.jp/

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  • 2017年5月改訂版
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