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  提案シート47 自社株の評価方法(類似業種比準方式)

 

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47 自社株の評価方法(類似業種比準方式)

 類似業種比準方式は、未上場会社が上場した場合どのくらいの株価になるかを計算するもので、3つの要素(配当・利益・純資産)から構成されます。
 ただし、流通性がないという未上場会社のデメリットを会社規模に応じた割合で減額するという形で評価しています。

1.計算式

 これは国税庁が業種別に上場株式の株価等をもとに計算したデータを使用して評価する方法で、次の算式により計算されます。

(B) 対象会社の配当金額
 直前期末以前2年間中に配当金交付の効力が発生した剰余金の配当(資本金等の額の減少によるものを除く)の平均剰余金の配当金額 (非経常的な記念配当等は除く)

(C) 対象会社の利益金額
 直前期末以前1年間の所得金額(直前期末以前2年間の平均所得金額が低いときは、その金額)

(D) 対象会社の純資産価額
 税務上の資本金等の額と利益積立金額の合計額
 A、B、C、Dが公表されるデータで、(B)、(C)、(D)が評価しようとする会社のデータです。

2.注意点
 これらの計算はすべて50円換算発行済株式数(直前期末の資本金等の額を50円で除して計算した株式数)を基に計算することが必要です。
 例えば、資本金等の額7,000万円の会社の場合、7,000万円÷50円=140万株となり、この発行済株式数を基に1株当りの配当、利益および純資産を求めることになります。
 なお、(B)〜(D)のうち2要素がゼロの会社においては、会社規模によらず類似業種比準方式の併用割合を25%として計算します。ただし、3要素がゼロの会社は純資産価額方式のみによる評価になり、類似業種比準価額の計算は行いません。

自社株の評価額(類似業種比準方式)計算シート

  A.上場会社比株価        
@ 円×        
 
  (B)自社の配当   (C)自社の利益   (D)自社の純資産
     
 


     
  B比準配当   C比準利益   D比準純資産
 
  3
 
    斟酌率    
    ×  
(小数点以下1位未満切捨)
 
    1株当りの資本金等の額    
A × /50円
   ……1株当り類似業種比準価額

(注) 1 A、B、C、Dについては、国税庁が公表する1株当りの配当金額
  2 =類似業種の株価
    (B) =評価会社の1株当りの年配当金額
    (C) =評価会社の1株当りの年利益金額
    (D) =評価会社の1株当りの純資産価額
    =課税時期の属する年の類似業種の1株当りの年配当金額
    =課税時期の属する年の類似業種の1株当りの年利益金額
    =課税時期の属する年の類似業種の1株当りの純資産価額
  3 上記算式の(B)/B、(C)/C、(D)/Dおよびこれらの割合の平均値については小数点以下2位未満の端数は切捨てます。
※類似業種比準価額を算出した後の計算については、下記の区分に応じ、それぞれの計算シートを参照してください。
大会社→計算シート44、中会社→計算シート45、小会社→計算シート46

設例

(1) 評価会社(中会社)
@ 直前期末以前2年間における1株
  (50円)当り配当金額 3円
A 直前期末以前1年間における1株
  (50円)当りの利益金額 45円
B 直前期末における1株(50円)当りの純資産価額 156円
C 1株当りの資本金等の額 50円

(2) 類似業種
@ 配当金額   4.4円
A 利益金額    35円
B 純資産金額  194円
C 前年1年間の平均株価、課税時期の属する月以前の3カ月間の各月の平均株価および課税月以前2年間の平均株価のうち、最も低いもの 1,426円

(3) その他の項目
@ 課税時期における1株当り純資産価額1,000円(相続税評価額によって計算した金額)
A 納税者の議決権割合 100%
B Lの割合 0.75
C 所有株式数 50,000株

(1) 1株当り類似業種比準価額
 @ 

 A @×50円/50円=787円(円未満切捨)=787円……1株当り類似業種比準価額
(2) 1株当り純資産価額 1,000円
(3) 1株当り評価額
 @ (1)787円<(2)1,000円 ∴(1)787円
 A @×0.75+(2)1,000円×(1-0.75)=840.2円→840円(円未満切捨)
(4) 所有株式の評価額
 (3)840円×50,000株=42,000,000円

(文責: 辻・本郷税理士法人 http://www.ht-tax.or.jp/


 

 
  • 2022年5月改訂版
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