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I 相続・贈与 1 相続の法務 A 相続財産の調査  

(10) 所有者不明土地等に係る固定資産税の見直し

質問:
所有者不明土地に対する課税上の見直しについて教えてください。

要旨:

 固定資産税の賦課徴収について、所有者不明土地の増加により所有者の特定に係る市町村の負担が大きくなっていることや、所有者が特定できない場合に課税ができず課税の公平性の観点から問題が生じていること等を背景に、固定資産税に関し「所有者の特定を容易にする制度」、「所有者が特定できない場合に使用者に対する課税ができる制度」が創設されます。

解説:

1.現に所有している者の申告の制度化

 登記簿上の所有者が死亡しており、相続登記が未済の場合、現に所有している者(主に相続人)に対して固定資産税の賦課徴収に必要な事項を申告させることができるとされました。
 つまり、相続発生後、相続登記を行わなくても現に所有している者は何らかの申告が必要となります。


2.使用者を所有者とみなす制度の拡大

 一定の調査を尽くしてもなお、固定資産の所有者が一人も明らかにならない場合には、その使用者を所有者とみなして、その者に固定資産税を課すこととされました。


3.適用時期

 @2020年4月1日以後の条例の施行の日以後に現所有者であることを知った者について適用されます。
 A2021年度以後の年度分の固定資産税について適用されます。


4.影響

 「1.現に所有している者の申告の制度化」について、現状、遺産分割協議や相続登記については期限や義務はなく、怠った場合の罰則もありませんが、固定資産税については、条例により「現に所有している者の申告」が制度化され、申告をしない場合には罰則が課せられる可能性があるため注意が必要となります。



(文責:中央綜合税理士法人)

 

  • 2022年8月改訂版
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