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I 税務相談 1 会社と税務 A 記帳義務申告  

(1) 記録および記帳に基づく申告制度

質問:
わが国の申告納税制度において、記帳等の制度が設けられているようですが、どのような制度かその概要を教えてください。

要旨:

 申告納税制度とは、納税者がその取引の過程で集積された客観的な資料による裏付けのある所得金額をもって申告することをいい、適正な申告水準を維持・確保するための納税協力を含めて納税者の当然の責務ともいえます。記録および記帳に基づく申告は、この納税者の責務を法律上明確化するものとして設けられています。
 具体的な記帳制度は、個人納税者については所得税法上に、また、法人納税者については法人税法上に、それぞれ規定されています。

解説:

1.個人の記帳制度
@記帳制度
 申告納税制度においては、所得税額を算定するのに必要な帳簿書類を備え付け、収入金額や必要経費等を記載し、それを基礎として申告を行うことが重要であり、このような考え方に基づき、昭和59年度税制改正において、零細な事業者を除く事業所得等の所得金額の合計額が300万円を超える個人事業所得者等に対して記帳義務が課されることとされていましたが、 平成26年1月1日から適用された平成23年12月2日公布・施行の所得税法等においては、すべての事業所得、不動産所得または山林所得を生じるべき業務を行う者に対し、記帳義務が課されることとされました。

A保存義務
 平成26年1月1日から適用された平成23年12月2日公布・施行の所得税法等の規定による帳簿書類等の保存義務規定により、事業所得、不動産所得または山林所得を生ずべき業務を行う者は、その年の取引のうち総収入金額及び必要経費に関する事項を簡易な方法により記録し、かつ、帳簿については、一定期間保存しなければならないこととし、法定帳簿については7年、任意帳簿については5年、決算に関する書類および請求書、納品書、領収書等については5年として規定しています。

2.法人の記録保存および記帳の制度
@記帳義務
 普通法人や協同組合等ならびに収益事業を営む公益法人等および人格のない社団等(青色申告法人を除く)は、現金出納帳などの必要な帳簿を備え、その取引に関する事項を整然、かつ明瞭に記録し、その記録に基づいて決算を行わなければなりません(法人税法150条の2@、法人税法施行規則66条)。この場合、公益法人等または人格のない社団等が記帳すべき取引は、その営む収益事業に関するものに限られます。また、記帳する際の区分や記録の方法については、法人税法施行規則別表22で定められています。

A記録保存義務
 @の法人は、@の取引を記帳した帳簿や卸表、貸借対照表、損益計算書等決算に関して作成された書類ならびに取引に関して相手方から受け取った注文書、契約書等および自己の作成したこれらの書類で写しのあるものを7年間保存しなければなりません(法人税法150条の2@、法人税法施行規則67条)。

(注1)6、7年目の帳簿書類の保存については、マイクロフィルムにより保存することができます。なお、個人の場合も同じです。

(注2)青色申告法人で欠損金の生じた事業年度については、青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間は9年、帳簿書類の保存期間も9年となっています。なお、平成27年度税制改正により、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金については、繰越期間が10年、帳簿書類の保存期間も10年となります。(法人税法施行規則26条6の3)。

(文責:中央綜合税理士法人)

⇒記帳の簡易な方法

⇒簡易記帳にした場合の税務調査の受け方

 

  • 平成29年8月改訂版
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